★「核発射ボタン」が広島に持ち込まれていたと書いた週刊新潮-(天木直人氏)

今日発売の週刊新潮6月9日号が、オバマの広島訪問は自己矛盾だとする特集記事を掲げた。

 私がその記事で注目したのは、

自己矛盾の象徴として「核発射ボタン」をオバマ大統領が広島にまで持ち込んでいたという事が

書かれていたところだ。

 米国の「核発射ボタン」についてはその存在は知っていたつもりだ。

 しかし、ここまで詳細に書かれたものを私が見たのは、この週刊新潮の記事がはじめてだ。

 米国大統領は、つねに核兵器の発射命令を出せるよう指揮通信装置を携行している。

 この装置は「大統領非常用手提げカバン」、通称「核のフットボール」と呼ばれているという。

 初期の核攻撃計画のコードネームが「ドロップキック」だったことに由来するという。

 カバンはゼロハリバートン社の革製で、重さ20キロほどの黒カバンであるという。

 攻撃命令を送信する通信機のほか、目標と作戦計画のリストなどが収納されているという。

 カバンの携行は、米国の五つの軍、すなわち、陸海空三軍と沿岸警備隊、海兵隊の佐官クラスから

1名ずつ選ばれた大統領軍事補佐官が、交代で番にあたるという。

 国内の公務から外遊先、さらにはジョギングやゴルフといったプライベートにも

絶えず彼らがついて回るという。

 このカバンにある指揮通信装置を立ち上げるには、

大統領が別個に携帯しているとされる「ビスケット」と呼ばれる暗証カードが必要になるという。

 このカバンは、ホワイトハウスにある核攻撃を命ずる装置のモバイル版であり、

予備は副大統領とホワイトハウスの地下にもあり、大統領が変わるたびに暗唱コードは改められるという。

 核のフットボールから送信された命令に従って発射キーを回すのは、

最終的には原子力潜水艦の艦長など現場の軍人であり、

たとえばシアトル沖に配備されている原子力潜水艦に配備されている核ミサイルであれば、

キーを回して20分ほどでモスクワに到達するという。

 このカバンで作動できる米国の核兵器の威力は、

広島に投下された核爆弾の2万2千発分に相当するという。

 この物騒な黒カバンが広島にまで持ち込まれていたのだ。

 オバマ大統領が演説するところからやや離れた場所に、黒カバンを携行した空軍将校の姿があったという。

 オバマ大統領の広島での平和演説は矛盾だらけだったが、確かに、これ以上の矛盾はない。

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