★原発憲法TPP基地アベノミクス争点に連帯拡大ー(植草一秀氏)

政治は権力をめぐる闘争でもある。

安倍政権は目的のためには手段をいとわない。

息を吐くようにウソをつき、

メディアを不正利用し、

公的資金を買収に用いる。

不正選挙にも手を染めているかも知れぬ。

このような勢力に打ち克たねば日本政治を刷新できない。

しかし、それは不可能でない。

「安倍政治を許さない!」

と考える人々が結集し、大同団結することが必要不可欠である。

「安倍政治を許さない!」

勢力が拡大していることは望ましいことだが、その運動が

「閉じられている」

印象が強い。

これでは、権力を手にしている安倍政権を打倒することは難しい。

広く開かれた国民連合戦線を構築することが必要である。

「市民連合」の運動も、広く賛同団体を広げる活動を展開するべきである。

「閉じられた活動」では主権者全体に連帯の輪を広げることが難しくなる。


安倍首相は伊勢志摩サミットを不正利用して消費税再増税再延期を打ち出した。

消費税再増税再延期について安倍首相は、

2014年11月18日の記者会見で、

「来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、

さらに延期するのではないかといった声があります。

再び延期することはない。

ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。」

「平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。

3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつく
り出すことができる。

私はそう決意しています。」

http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/1118kaiken.html

(動画の7分48秒以降の部分)

と述べたが、これを再延期するとしている。

つまり、アベノミクスの運営に失敗して、

消費税再増税を再延期せざるを得ない状況に追い込まれたのであるから、

安倍政権は総辞職するべきである。

しかし、権力を握って離さない安倍政権は、厚顔無恥に消費税再増税再延期を打ち出し、

政権運営を続ける構えを示している。

安倍政権が消費税再増税再延期を提示するため、これは選挙の争点から外れることになる。

代わって浮上するのは、アベノミクスが成功したのか失敗したのかの判定である。

消費税再増税再延期がアベノミクス失敗の明白な証左である。

そして、参院選最大の争点に位置付けるべきはTPPである。

日本がTPPに参加すれば、日本は日本のことを決める主権を失う。

これは日本の主権者が主権を失うことを意味する。

公的保険医療が崩壊し、食の安全が崩壊する。

私たちのいのちとくらしが根底から破壊されることになるのである。

そして、

原発、戦争法、辺野古基地。

これらの是非が問われるのが参院選になる。

与野党対決型の選挙になる32の1人区では、反自公候補の当選に全力を尽くさねばならない。

それ以外の選挙区選挙、比例代表選挙では、

上記の

原発、戦争法、TPP、基地、そしてアベノミクス失敗

の問題について、主権者は政権公約を基に投票対象を選択するべきである。

主権者が連帯して統一行動を示すなら、必ず政権交代を実現できる。

衆参ダブルなら、この選挙での政権交代実現を目指すべきであるし、

参院選単独であるなら、まずは参院選に勝利し、

次の総選挙での政権交代実現に向けて対応を急ぐべきである。


6月2日(木)午後6時30分から、

浦和コミュニティセンター多目的ホール
(J浦和駅東口徒歩1分)
http://www.saitama-culture.jp/urawacom/access.html

「九条の会・さいたま」主催講演会で

『オールジャパン平和と共生-私達に出来ることは何か-』

の演題で話をさせていただく(参加費は500円)

http://whatsdemocracy.jp/events/7968

一人でも多くの主権者の参加をお願い申し上げる。


自民党内には解散総選挙を唱える声も浮上しているが、

これは、野党による内閣不信任決議案提出を牽制するためのものである。

野党はこのような脅しに屈するべきでない。

内閣不信任決議案を提出して安倍政権の責任を問うべきである。

仮に安倍政権が衆院解散に踏み切るのなら、堂々と総選挙を戦い、一気に政権交代を実現するべきである。

安倍首相の本音は総選挙の先送りにある。

いま選挙をしてしまうと、衆院任期は2020年7月に切れる。

2020年年8月の東京五輪にまで届かない。

安倍首相は本年秋以降の衆院解散を狙っている。

2020年東京五輪を自分の政権下で実施することを目論んでいるからだ。

野党は安倍首相がどのような行動に出るのかを想定して内閣不信任決議案提出を躊躇するべきでない。

内閣総辞職に値する政策失敗が明らかになっているのだから、

堂々と内閣不信任決議案を提出するべきなのである。

そして、その決議案への賛否によって、

どの政党が

「安倍政治を許さない!」

と考え、

どの政党が

安倍政権与党の補完勢力であるのかが明らかになる。

これは、今後の国政選挙に対して主権者がどう投票するかの重要な参考情報になる。


アベノミクスは

その目的と

その実績の

両面において、否定されるべきものである。

アベノミクスの目的は、

大資本の利益増大

にある。

一般庶民の幸福増大を目標としていない。

逆に、一般庶民の生活破壊をもたらすものである。

アベノミクス第一の矢である「インフレ誘導」は無残な失敗に終わったが、

そもそも「インフレ誘導」が間違った政策目標であった。

インフレ率上昇は実質賃金の減少をもたらす。

実質賃金の減少は、資本の利益を増大させ、労働者の利益を減少させるものだ。

このためにインフレ誘導が目指されていたわけで、

一般庶民にとってインフレ誘導失敗は不幸中の幸いだった。


アベノミクス第三の矢である「成長戦略」がアベノミクスの本質を示すものだが、

その真髄は、「弱肉強食推進」である。

労働市場の規制緩和とは、非正規労働者拡大の推進であり、

解雇の自由化、最低賃金の引下げ、外国人労働力の活用などが目指されている。

農業自由化、医療自由化は、農業や医療の分野を、

単純な営利追求分野に改変することを目指すもので、すべては、大資本の利益増大が目的である。

そのことは、同時に、一般庶民の不利益増大を意味するものである。

さらに、アベノミクス第二の矢である「財政出動」を実行したのは2013年だけだった。

2014~2016年は緊縮財政を強行実施して、日本経済を不況に逆戻りさせた。

とりわけ、2014年の消費税大増税は、

大資本の利益増大のための法人税減税とセットで実施されており、

大資本の利益増大と、一般庶民の生活苦推進を目指すものだったのである。

日本の主権者、一般庶民にとって、アベノミクスの目標そのものが、

「百害あって一利なし」

であることが明らかになっているのだ。


他方、アベノミクスは、実績においても完全な失敗に終わった。

アベノミクスで日本経済を浮上させることが目指されたが、日本経済は完全に沈んでいる。

実質経済成長率平均値(年率)は、

2009~2012年の民主党政権下が+2.0%であるのに対し、

2012=2016年の安倍政権下では、わずかに+0.7%である。

日本経済は完全に沈んでしまっているのである。

株価が上昇して、これをメディアがアベノミクスの成果だと宣伝するが、

日本経済のなかで、唯一良くなったのが大企業の利益なのである。

株価上昇は大企業利益増大を反映するものだが、

株価に表現される企業は、日本全体の法人数のなかの0.05%にも満たない。

1%にも満たない部分だけが絶好調で、残りの日本経済は完全に沈んでしまっている。

失業率が下がり、有効求人倍率が上がったと言っても喜べる話でない。

全体の総量が減り、分け合う人数だけが増えただけのことだからだ。


オバマ大統領が広島を訪問したところで、安倍政権の原発推進は変わらない。

いのちとくらしを蝕むTPP推進も変わらない。

沖縄で卑劣な凶悪犯罪が繰り返されても、辺野古米軍基地建設推進も変わらない。

自衛隊が米軍指揮下に置かれて米国が創作する戦争に駆り出される戦争法肯定も変わらない。

私たちは、この「安倍政治を許さない!」との判断を再確認するべきである。

そして、安倍政治を退場させることだけに焦点を絞り、夏の参院選、そして、次の総選挙に臨まねばならない。

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