★サミット。
安倍首相の魂胆「世界経済危機論で参議院選挙前に消費税延期を宣言する理由に利用しよう』見透かされ、
独、英、仏から厳しい批判。その後も外国メディアから批判。ー(孫崎享氏)

サミットを自分の利益に利用しようとする安倍首相の魂胆は見え見えだった。

1. 憲法改定を是非ともしたい。

2. そのためには参議院選挙で3分の2を獲得する必要がある、

3. 国民の中に消費税増税に強い反対がある。これを掲げて選挙は戦えない、

4. したがって「世界経済が悪い」ということを世界の指導者達がサミットで言っている。
これに耳をかして、やむなく延期とする。

このシナリオに沿って、安倍首相は行動を開始した。

「初日に行われた首脳会談で安倍首相は、

世界経済の状況についてIMFのデータなどをとりまとめた資料を提示し、

「2008年に起こったリーマン・ショック前の状況に似ている」との認識を示した。 

冒頭の発言はその後、安倍首相が記者団に述べたものだ。」
(東洋経済「「リーマン・ショック前夜」の薄弱すぎる根拠」)

 メルケル首相が反論した。

朝日新聞デジタルによると、26日のサミットの昼食会でドイツ首相のメルケル氏は、

ワインを傾けながら、安倍首相に冗舌に反論したという。

メルケル氏は財政規律を重視する立場であり、リーマン・ショックのときには、

各国で協調した危機対応も経験した。

会合後、記者団に対してメルケル氏は「世界経済は、そこそこ安定した成長を維持している」と釘を刺した。
(ハフィントン・ポスト「「リーマンショック前と似ている」 安倍首相の見解に批判の声も」

更に、26日の討議ではキャメロン英首相が「危機とはいえない」と反論し、

オランド仏大統領も記者会見で「私たちは危機の中にいない」と述べるなど、

G7に参加した各国の首脳の見解は安倍首相が主張する内容で一致していたとは言い難い。
(「リーマン・ショック前夜」の薄弱すぎる根拠) 

 各国メディアも酷評した。

「英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は「世界経済が着実に成長する中、

安倍氏が説得力のない(リーマン・ショックが起きた)2008年との比較を持ち出したのは、

安倍氏の増税延期計画を意味している」と指摘した。

首相はサミット初日の26日、商品価格の下落や新興国経済の低調ぶりを示す統計などを示し、

自らの景気認識に根拠を持たせようとした。

しかし、年明けに急落した原油価格がやや持ち直すなど、金融市場の動揺は一服している。

米国は追加利上げを探る段階だ。

英国のキャメロン首相は26日の討議で「危機とは言えない」と反論。

FTは英政府幹部の話として「キャメロン氏は安倍氏と同じ意見ではない」と指摘した。

 英BBCは27日付のコラムで「G7での安倍氏の使命は、

一段の財政出動に賛成するよう各国首脳を説得することだったが、失敗した」と断じた。

そのうえで「安倍氏はG7首脳を納得させられなかった。

今度は(日本の)有権者が安倍氏に賛同するか見守ろう」と結んだ。

 仏ルモンド紙は「安倍氏は『深刻なリスク』の存在を訴え、悲観主義で驚かせた」と報じた。

首相が、リーマン・ショックのような事態が起こらない限り消費税増税に踏み切ると

繰り返し述べてきたことを説明し、

「自国経済への不安を国民に訴える手段にG7を利用した」との専門家の分析を紹介した。

首相が提唱した財政出動での協調については、「メンバー国全ての同意は得られなかった」と総括した。

 米経済メディアCNBCは「増税延期計画の一環」「あまりに芝居がかっている」などとする

市場関係者らのコメントを伝えた。」(毎日新聞 5月28日<伊勢志摩サミット>「リーマン級」に批判相次ぐ)

 過去のサミットで、日本の首相の発言がこれだけ批判を集めたのはなかったのでないか。

 サミットを世界の運営のためにどうするかと言う大きな目的を忘れて、

自分の政治的利益のためには嘘や詭弁を平気で言う安倍首相の体質に厳しい批判がなされた。

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