★日米地位協定、何故沖縄の人だけに改訂の声をあげさせるのか。
現日米地位協定本質は占領の延長、不平等条約の極。ー(孫崎享氏)

1: 沖縄における女性殺害事件を契機に、沖縄県議会は全会一致で(自民党は退席)、
26日本会議で「在沖米海兵隊の撤退」を求める抗議決議と意見書を全会一致で可決した。

2:日米首脳は会談で、「両首脳は、事件の全容解明と日米地位協定の運用の改善などに協力して取り組み、
信頼回復に努めていくことで一致した(26日NHKニュース)。

3:沖縄県の翁長雄志知事は26日、政府が県内の犯罪抑止策検討チームを発足させたことについて
「(県民に)マイナスという話にはならない」と一定の評価を示した。一方で「日米地位協定の抜本的な見直しが
必要だということがベースになる」とくぎを刺した。(26日日経)

4:日米地位協定の「運用の改善」で事態は改善されるのか。

 日本が独立する時、米国は在日米軍を日本に置くことを強く求め
「望むだけの軍隊を、望む期間、望む場所に置く」ことを求め、それが旧安保条約で、
実態的内容を決めたのが行政協定、今日の地位協定である。

5:こうした状況は戦後米軍を受け入れざるをえなかったドイツ、イタリアにも当てはまるが、
両者はその後、対等な同盟国の関係を求め、ドイツは1993年に大幅に改定をした。

例えば、ドイツ駐留NATO軍地位補足協定は48条5は次を定めている。

「軍隊又は軍属機関による施設区域の返還については、次の規定を適用する。

⒜軍隊又は軍属機関の当局は、使用する施設区域の数及び規模を必要最小限度に限定することを
確実にするために、施設区域の需要について絶えず検討する。
これに加えて、ドイツの当局から要請があるときは、個々特殊な場合におけるその需要を点検する。(省略)

特定の施設区域については、共同の防衛任務に照らしてもその使用よりもドイツ側の利益が
明らかに上回る場合には、ドイツ当局の当該施設区域の返還請求に適切な方法でこれに応ずるものとする。
「ドイツ側」の「利益」という基準は、合意議事録ではいっそう明確に表され、
「ドイツの非軍事部門の基本的な必要性、特に国土整備、都市計画、自然保護および農業上、
経済上の利益に基づく」と表現されている。」

6:現行の地位協定を見てみよう。

第3条:施設、区域内で、設定、運営、警護、管理の為には必要な全ての措置を取ることが出来る。

第4条:合衆国は返還にあたって現状回復の義務を負わない。

第5条:合衆国は入港料、着陸料を払わないで日本の港、飛行場に出入りすることが出来る。

第7条:日本政府のすべての公共事業及び公共役務を利用することが出来、優先権を享受する。

第9条:合衆国軍隊の構成員は旅券査証の日本国法令の適用から除外される。

第10条:日本国は合衆国の運転免許を有効なものと承認する。

第11条:必要資財の輸入には関税を課さない。

第12条:販売所、食堂、クラブ等期間は日本の規制、手数料、租税の管理に服さない。

第17条:合衆国の軍当局は次の罪については第一義的裁判権を有する。

 公務執行中の作為から出る罪

7:本来なら日本政府は、戦後この不平等な協定の見直しに全力を挙げるべきである。

8:こうしたいわば屈辱的な協定をそのままにして、戦後体制の見直しはない。

9:本来こうした声は日本国内全体から出てくるべきである。

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