★現実主義者のオバマには核廃絶はできないー(天木直人氏)

オバマの広島入りについてメディアが大騒ぎをする前に、どうしても書いておきたいことがある。

 オバマの広島入りの評価について、正反対の意見がメディアにあふれるだろう。

 すなわち、米国の大統領が広島に来たこと自体が勇気あることだ、

というものからはじまって、謝罪しないなら来るな、というものまで賛否が分かれる。

 どちらも正しく、どちらも間違っている。

 おそらく、誰もが等しく認めるオバマの広島訪問の成果があるとすれば、

それは、広島訪問で原爆の悲惨さを知ったオバマが、

これまで以上に核廃絶に向けた努力をすることになるだろう、という期待だ。

 しかし、残念ながらオバマには核廃絶をする気も能力もない。

 彼は既に様々な機会に明らかにしているが、

25日夜の日米首脳会談後の共同記者会見で、記者の質問に対してもはっきり答えた。

 すなわち、戦争の悲惨さを強調し、戦争を否定しつつも、

戦争が無くならない限り武力行使は止めないと言った後で、

核廃絶は、すぐには実現できないといい、おそらく私が生きている間には実現されないだろう、とまで語った。

 こんな現実的な事を口にするような者には核廃絶など出来るはずがない。

 戦争放棄といい、核廃絶といい、それを可能にする唯一の資質は、

誰にも屈しない強い理想主義であり、何があっても理想を実現して見せるという燃えるような情熱だ。

 オバマにはそれはない。

 私はオバマの広島訪問は、謝罪しないなら来るな、とまでは言わないが、

ほとんど意味のないパフォーマンスに終始すると思っている。

 そのような形で米国大統領の広島訪問が行われ、

そしておそらくは、オバマ以降、二度と米国大統領の広島訪問が騒がれず、

米国の謝罪が未来永劫封印される事を残念に思う一人である。

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