★既得権勢力に対峙する清冽地下水勢力を結集-(植草一秀氏)

昨日開催された東アジア共同体研究所主催の

第14回世界友愛フォーラム勉強会

は多数の方のご参集を得て盛会裏に開催された。

貴重な勉強会にお招きを賜ったことに感謝申し上げるとともに、

お運びくださった皆様に感謝申し上げたい。

「安倍政治の本質とブレイクスルーの方策」

と題して、

「この国のかたち」

「安倍政治の実相」

「安倍政治を打破するための方策」

について私見を述べさせていただいた。

冒頭、鳩山友紀夫元首相からご挨拶があった。

沖縄での新しい悲劇を踏まえ、沖縄から基地を撤去することの重要性が改めて指摘された。

沖縄には日本に存在する米軍専用施設の74%が集中している。

普天間基地を閉鎖しても、これを辺野古に移設するなら、沖縄負担率は変わらない。

米軍兵士、米軍関係者による、卑劣かつ凶悪な犯罪が繰り返されるたびに、

綱紀粛正、再発防止が叫ばれるが、実態は何も変わらない。

しかも、公務中の犯罪については、日本が裁判にかけることも許されない。

「日米地位協定」という「治外法権」の定めが残存しており、

沖縄は今も米軍占領下に置かれているのである。

オバマ大統領が来日するなら、安倍首相は日米地位協定の撤廃を申し入れるべきである。


講演で私は、

「この国のかたち」



「鳩山政権はなぜ破壊されたのか」

という問題に触れた。

短く要約することは困難だが、

いわゆる「戦後史の正体」

として、以下の三点を述べた。

1.GHQによる占領政策は前期と後期に分けて考える必要がある

2.1947年以降の占領政策の基本は「非民主化」、「日本の反共化」であり、
この方針が現在まで引き継がれている

3.日本統治の基本は「政治刷新の脅威の除去」である

GHQによる日本統治の前期における中心部所はGS=民生局である。

ケーディス、ホイットニー、ヒューストンなどの人物が中心になって、日本民主化政策が推進された。

この中で日本国憲法も誕生したのである。

しかし、1947年に、コペルニクス的転換が生じる。

米国外交政策の根幹に「ソ連封じ込め」が置かれたのである。

連動して日本占領政策の基本が「民主化」から「非民主化」に転換した。

GHQ統治の中核はGSからG2=参謀2部に移行した。

そして、参謀2部のウィロビー少将と結託したのが吉田茂首相である。


「公職追放」は「レッドパージ」に置き換えられた。

GSが主導して制定された日本国憲法は、G2主導の米国対日占領政策の障害物になったのである。

米国の対日統治の基本は

「対米従属勢力による日本実効支配」の継続と

「脅威なき勢力によるガス抜き」の並存である。

その完成形が

55年体制

である。

「対米従属の自民」による日本支配

を継続維持するなかで、

「脅威なき社会党」によるガス抜き

の構図を構築して、これを維持した。

この図式を破壊したのが

1993年の細川護熙連立政権であり、

2009年の鳩山友紀夫政権であった。

日本支配者にとって必要なのは、

「脅威なき反対勢力」

であって

「本当の脅威」

ではない。

小沢‐鳩山政権体制が日本支配勢力による総攻撃を受けた理由は、この小沢‐鳩山勢力が

「本当の脅威」

と見なされたためである。


55年体制下の日本においても、

「本当の脅威」

になり得る人物に対しては

「人物破壊工作」

が仕掛けられてきた。

鳩山一郎元首相はソ連との平和条約締結に力を注いだ。

それを妨害したのが米国であり、鳩山一郎首相は一度も訪米せずに退陣に追い込まれた。

石橋湛山首相は米国に支配される日本を拒絶しようとした。

そのために、謎の急病によって首相辞任に追い込まれたのである。

田中角栄首相は米国の頭越しに中国との国交回復に突き進んだ。

日本のエネルギー確保のために米国とも敵対した。

そのために、ロッキード事件が仕掛けられ、失意の失脚、逝去へと誘導された。

橋本龍太郎元首相は、

日本から米国への上納金制度である日本政府による米国国債強制購入に異を唱えた。

その結果、これまた謎の心臓発作発症と早逝に追い込まれたのである。

小沢一郎氏は西松事件・陸山会事件という、

日本史上最も卑劣な政治謀略冤罪ねつ造により撃墜された。

鳩山友紀夫元首相も故人献金疑惑で猛攻撃を受けたのである。

私に対する人物破壊工作も同じ文脈上に位置づけられると思われる。


2009年の政権交代実現とこれを実現させた勢力は、日本を支配する既得権勢力にとっての

「真正の危機」、「真正の脅威」

であった。

あのまま、既得権による日本支配を打破する勢力が拡大し、

盤石の政権基盤を確立していたなら、日本の「国のかたち」は根底から刷新されたと考えられる。

2010年7月の参院選で小沢‐鳩山体制の民主党が勝利し、

衆参ねじれを解消していたなら、日本政治の刷新は音速の勢いで進展したと考えられる。

逆に考えれば、だからこそ、日本を支配し続けてきた既得権勢力は、

目的のためには手段を選ばぬ方法で

鳩山政権殲滅(せんめつ)に総力を注いだのである。


その具体的方法が、

民主党内既得権勢力の活用であった。

民主党内の主導権を

改革勢力

ではなく

既得権勢力

に握らせてしまえば、民主党が拡大しても脅威ではなくなる。

したがって、今回の参院選で野党勢力が仮に勝利を収めたとしても、

民主党が野党第一党の地位にあり、民主党の実権を既得権勢力が押さえている限りは、

既得権勢力による日本支配の構図は変わらない。

ここが重要なことである。


しかし、民主党の実権を既得権勢力が握ったために、民主党は主権者の支持を失った。

当たり前のことだ。

日本政治を刷新するために民主党に投票したのに、

その民主党が既得権勢力に寝返るなら、主権者はこの政党を支持しない。

現在、民主党の実権を握っている人々は、そのほとんどが主権者から支持されていない者たちである。

それでも、彼らは実権を手放そうとしない。

そして、改革勢力結集を妨害し、日本政治刷新を妨げる存在になっている。


日本政治を刷新するには

民主党の浄化

を避けて通れない。

民主党は

「地下水と油泥の混合物」

である。

そして、現状は既得権側の油泥が実権を握っている。

この油泥が実権を握っているために、

反自公=安倍政治を許さない!

清冽な地下水勢力の結集、大同団結が妨げられている。


「地下水と油泥の混合物」

である民進党を分離することが必要である。

そのためには、この政党を大敗させることが必要だろう。

「大敗ショック」

で「地下水」と「油泥」の分離を実現させる。

そのうえで、

「清冽な地下水」勢力の結集、大同団結を実現するのだ。

そのためには、鳩山友紀夫元首相と小沢一郎代表の再連携、

そして、共産党と含む地下水勢力の大結集が必要であると思う。

民進党を軸にする野党勢力結集では、

永遠に日本政治刷新が実現しないことを認識したうえでの戦略構築が求められている。


6月2日(木)午後6時30分から、

浦和コミュニティセンター多目的ホール
(J浦和駅東口徒歩1分)
http://www.saitama-culture.jp/urawacom/access.html

のおいて、

『オールジャパン平和と共生-私達に出来ることは何か-』

の演題で話をさせていただく。

主催は「九条の会・さいたま」、参加費は500円

http://whatsdemocracy.jp/events/7968

一人でも多くの主権者のご参加をお願い申し上げたい。

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