★既得権勢力は脅威にならない反対勢力を求めるー(植草一秀氏)

6月2日(木)午後6時30分から、

埼玉県浦和市にある

浦和コミュニティセンター多目的ホール
(JR浦和駅東口徒歩1分)
http://www.saitama-culture.jp/urawacom/access.html

で、

『オールジャパン平和と共生-私達に出来ることは何か-』

とのテーマで講演をさせていただく。

主催:「九条の会・さいたま」

参加費:500円

http://whatsdemocracy.jp/events/7968

5月26-27日の伊勢志摩サミットが終わると同時に通常国会が会期末を迎える。

参議院議員通常選挙は6月22日に公示され、7月10日が投開票日になる見込みである。

6月1日に衆議院が解散されると衆議院総選挙は7月10日までに実施しなければならない。

したがって、7月10日に衆参ダブル選が実施される可能性もある。

熊本で激甚災害が発生し、いまなお、多くの方々が厳しい避難生活を強いられている。

とても選挙を実施するような状況ではないが、安倍晋三氏は自分のことだけを考える。

したがって、7月10日衆参ダブル選の可能性はまだ消えていない。


5月18日の党首討論で、安倍首相が消費税について言及し、衆院解散の可能性について、

何らかの言質を与える可能性が注目された。

しかし、安倍氏は明確な発言を避けた。

その一方で、3月の実質賃金指数が前年同月比で+1.4%を記録したことを自画自賛し、

「実質賃金というのは、

3%消費税を上げましたから、3%分をですね、削られてしまうわけですから、

そこで上げてゆくというのは大変なんですが、

3月においては1.4%プラスになったということは、まず申し上げておきたい」

と述べた。

消費税率を3%引き上げたが、この消費税増税による賃金減少分を穴埋めして、

実質賃金が増加した、と主張したわけだが、事実は違う。

2016年3月のインフレ率には消費税増税の影響は含まれていない。

2015年3月の物価水準は消費税増税後の高い水準だから、

2016年3月の前年同月比上昇率には消費税増税による物価上昇分が含まれていない。

3%消費税率が上がり、それで削られた分を穴埋めして実質賃金がプラスになったわけではないのだ。

このような経済問題の核心について、

虚偽答弁をして国民に事実でない情報を刷り込むのは極めて重大な問題だ。

発言を撤回し、議事録を修正する必要がある。


昨年6月に「オールジャパン平和と共生」という名称の主権者連帯運動を立ち上げた。

https://www.alljapan25.com/

そして、3月には文京シビックホールで、

『安倍政治を許さない!参院選総決起集会』

を開催した。

「戦争と弱肉強食」に突き進む

「安倍政治を許さない!」

「平和と共生」の政治確立を目指す主権者連帯運動である。

原発稼働、憲法破壊・戦争法、TPPを許さない!

辺野古米軍基地・格差拡大・消費税増税を許さない!

という政策を基軸に

党派の壁を越えて

主権者が主導する

連帯運動である。

最近、この運動と似た名称を関して活動するサイトが存在するが、

本運動とは一切関係がないので、資金集めなどに応じないよう、十分な警戒を呼び掛けている。

https://www.alljapan25.com/

本日、5月24日は鳩山友紀夫元首相が理事長を務められている

東アジア共同体研究所
http://www.eaci.or.jp/

主催の

「世界友愛フォーラム勉強会」
http://www.eaci.or.jp/forum.html

にて講演をさせていただく。場所は東京音羽の鳩山会館である。

演題は

「安倍政治の本質とブレイクスルーの方策」

であるが、6月2日の浦和での講演会でも、基本的には同種の内容のお話をさせていただく予定である。


振り返ると、日本政治は2009年に決定的に重要な変化を実現した。

既得権勢力の激しい妨害を排除して、鳩山政権樹立という偉業を成し遂げたのである。

日本政治を根本から刷新する重大な試みであった。

しかし、この変化を裏側から眺めれば、まったく正反対の景観であったことは想像に難くない。

戦後日本を支配し続けてきた日本の既得権勢力=利権複合体にとっては、

鳩山政権の誕生は悪夢以外の何者でもなかった。

彼らは、いかなる手段を用いてでも、この政権が本格的に稼働し、

日本政治を刷新することを阻止しようと考えたはずである。

私は日本の利権複合体=既得権勢力を

米・官・業・政・電

の言葉で表現してきた。

「悪徳ペンタゴン(五角形)」

と命名したが、本当の構造は五角形ではなく、ピラミッドである。

米国(米国を支配する巨大資本)が頂点に立って日本を支配している。

この支配下で日本支配の一翼を担っているのが

官・業・政・電の四者である。


この既得権勢力は、鳩山政権の誕生以前から、

具体的に言えば、小沢一郎氏が民主党代表に就任して大躍進を始動した瞬間から、

激しい妨害工作を展開し続けた。

その象徴が2009年3月3日に勃発した西松事件ねつ造だった。

民主党の小沢‐鳩山体制は、既得権勢力の激しい攻撃をしのぎ、

ついに2009年9月に政権交代実現の偉業を達成したのである。

しかし、この瞬間から既得権勢力の攻撃は一段と悪質化、激化していった。

その結果として鳩山由紀夫政権は、わずか8ヵ月半で幕を閉じ、旧政が復古されたのである。


既得権勢力が用いた手法は、民主党内部での権力奪取を図ることであった。

民主党内部には既得権勢力の側に属する議員が潜伏していた。

既得権勢力の司令塔は、民主党内部に潜伏させていた既得権勢力を用いて権力の強奪を実行させた。

その結果として誕生したのが菅直人政権と野田佳彦政権である。

日本政治を刷新することを目的に樹立された民主党政権が旧政に復古すれば、

主権者の支持を失うことは当然である。

民主党は主権者の支持を完全に失い、2012年12月に安倍晋三自民党に大政奉還したのである。


日本を支配し続けてきた既得権勢力が恐れる最大の事項は、

既得権勢力が結集し、既得権勢力に正面から対峙することである。

だからと言って、彼らが反対勢力を必要としていないということではない。

反対勢力が存在しなければ、民衆の不満のはけ口がなくなる。

このことは、政権の寿命を短くすることであることを認識している。

しかしながら、何よりも重要なことは、その反対勢力が

強くなりすぎないこと

である。

強くなりすぎる反対勢力は、既得権勢力の存立そのものを脅かすのである。


つまり、

「本当の脅威にならない反対勢力」

を育成・管理することが、彼らにとっての最重要の課題なのだ。

55年体制の社会党がこの存在であった。

そして、現代で言えば、

既得権勢力が牛耳る民主党=民進党が野党第一党に位置する野党体制なのである。

彼らは、本当の意味で既得権勢力に対峙する政治勢力が登場し、

自公と正面から向き合うことを何よりも恐れている。

そうなれば、反自公勢力が自公勢力を凌駕することになるのは、火を見るより明らかであるからだ。


逆に言えば、日本政治を刷新するには、純粋な反自公勢力の結集こそカギを握る。

これを妨げている最大の要因は、民進党の中枢に、既得権勢力が居座っていることだ。

これが最大の障害なのである。

「水と油の民進党」を「水」と「油」に分離させること。

これが、日本政治刷新のカギを握る最重要事項だと言える。

これを誘導するには、恐らく、民進党を野党第2党に転落させることが有効であろう。

主権者は民進党候補者に対して、政策公約を精密に吟味し、

その政策公約が本当に、安倍政治に対峙する主権者の意思を反映するものであるのかどうかを

見定めて投票することが重要だ。

民進党のなかの既得権勢力は落選させる。

このことも重要になる。

衆参ダブルの可能性が残存することを十分に認識して、今後の対応を急がねばならない。

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