★沖ノ鳥島が深刻な外交問題になる事を認めた読売の社説ー(天木直人氏)

きょう5月13日の読売新聞は、その社説で沖ノ鳥島の法的地位を守れとする社説を掲げている。

 しかし、この社説は、はからずも、沖ノ鳥島問題が、深刻な外交問題になることを認めてしまった。

 私がそう指摘する理由の一つは、沖ノ鳥島をめぐって日本が主張する「排他的経済水域」権益が、

かならずしも国際的に説得力があるものではない事を読売の社説みずから認めたことだ。

 すなわち、沖ノ鳥島は、国連海洋法条約で言う島ではなく岩だと言う主張は、

既に中国は2004年ごろから唱えはじめ、韓国もその中国の主張に同調してきたが、

台湾は曖昧にしてきたという。

 その台湾が、ここにきて明確に、沖ノ鳥島は岩であり、島ではないと言い出したのだ。

 これは衝撃的だ。

 日本は一気に国際的に包囲されつつあることになったということだ。

 ふたつは、いまや中・韓国・台湾が等しく主張するようになった「沖ノ鳥島は島ではなく岩である」

という主張に対する日本の反論が、あまりにも根拠薄弱であるということだ。
 
 読売新聞の社説が書いている日本政府の反論は、

「国連海洋法条約上、沖ノ鳥島は島としての地位が確立している」というものだが、

すでにその主張は、台湾が同調した事で破たんした。

 しかも海洋法で定める、「満潮時も海面に出ている」と言う定義に照らしても、

沖ノ鳥島は写真で明らかなように、いかにも無理がある。

 それがまかり通って来たのは、これまで中国や韓国が本気で反論せず、

台湾が曖昧にしてきたからに過ぎない。

 その台湾が、巡視船を入域させ、それを拿捕した日本に抗議し、

台湾漁船保護を名目に日本が主張する排他的経済水域にいまだにとどまっているのである。

 もはや完全な外交問題でありいまだに未解決なのである。

 中国や韓国が加担するようになれば、日本は追い込まれる。

 三つ目として、そして、これがもっとも深刻なところであるが、

読売の社説は、沖ノ鳥島の権益保護の為に沖ノ鳥島が波浪や風雨にこれ以上浸食されないように、

護岸工事を進め、港湾施設を整備しろと主張している。

 まさしくこれは人工島をつくれと言っている事と同じだ。

 そして日本はいま中国の人口島建設に率先して反対している。

 この矛盾を衝かれたらひとたまりもない。

 軍事目的ではないから沖ノ鳥島の拡張はいいとでもいうつもりだろうか。

 沖ノ鳥島は深刻な外交問題になる。

 読売新聞の社説程度の主張では、国際政治の攻防の前に、ひとたまりもないだろう。

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