★米国の為替監視策はTPPと表裏一体だと書いた日経新聞ー(天木直人氏)

私は4月17日のメルマガ第323号で、日本は米国との通貨戦争に敗北しつつあると書いた。

 G20財相・中銀総裁会議に臨んだ麻生首相が急激な円高を前に為替介入発言をした事に対し、

ルー米財務省がすかさずそれを否定したからである。

 それから半月ほどたって、ついに米国は日本を為替監視対象国に指定した。

 すなわち米国政府は4月29日、為替報告書を発表し、

対米貿易黒字が大きい五カ国を「監視リスト」に指定したという。

 そしてその五か国の中には、中国と並んで、なんと日本が入っているという。

 中国は米国との為替競争には屈しない。

 だから通貨戦争に敗北することはない。

 しかし、日本はもはやこれでは完全に米国との通貨戦争に敗北することになる。

 しかし、私がここで言いたい事はその事ではない。

 米国による日本の為替政策への介入は、実は、あのTPPの米国議会承認と表裏一体であるという事実だ。

 これを大きく取り上げたのがきょう5月1日の日経新聞である。

 すなわち、米共和党のブレディ下院歳入委員長は、共和党を代表するTPP推進論者である。

 そのブレディ委員長が、為替監視で見事にオバマ民主党政権と連携しているというのだ。

 TPPの米議会承認を得るためには

オバマ大統領はブレディ下院歳入委員長の要望を取り入れざるを得ないだろう。

 米国に先駆けてTPPの国会同意を急ぎ、米国に協力しようとしている安倍首相は梯子を外される事になる。

 すなわち安倍首相が国会承認を急ぐTPPは円高容認を日本に迫ることになる。

 そして円高容認は、アベノミクスを根本から覆すことになる。

 何のために安倍首相はTPPの成立を急ぐのか。

 これ以上の自己矛盾はない。

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