★反安倍政権市民連合での次期衆参両院選勝利が見えたー(植草一秀氏)

4月24日に投開票日を迎えた北海道5区と京都3区の衆議院議員補欠選挙は次の結果に終わった。

衆院北海道5区補選確定得票数

当 135,842 和田義明 自新=[公][こ]

  123,517 池田真紀 無新=[民][共][社][生]

衆院京都3区補選確定得票数

当 65,051 泉健太 民元=[社]

  20,710 森夏枝 維新

   6,449 小野由紀子 こ新=[改]

   4,599 田淵正文 無新

   2,247 大八木光子 諸新

     370 郡昭浩 無新

投票率は、

北海道5区  57.63%

京都3区   30.12%

だった。

北海道では、安倍政権に対峙する勢力が共闘した。

勝たねばならない選挙であったが惜敗した。

残念であるが、明日に希望をつなぐ選挙になった。

京都では民進党候補者が当選した。

投票率が30%で戦後の衆院補選での最低投票率(1947年旧新潟1区の32・95%)を更新した。


今回の選挙で改めて確認されたことがある。

北海道5区で当選した和田義明氏の

得票数  135,842

は、同選挙区の

有権者数 455,262

の 29.8%

にあたる。

惜敗したは池田真紀氏は

得票数 123,517

で、絶対得票率(全有権者数に占める得票数の比率)は

27.1%

だった。

2014年12月の総選挙比例代表選における、自民、公明、両者合計の絶対得票率は

自民 17.4%

公明  7.2%

自公 24.7%だった。

投票率は52.66%だった。

つまり、選挙に行った有権者は全体の約半分。

選挙に行った有権者の、約半分が自公に投票した。

選挙区では、1位の候補者だけが当選する。

自公に対峙する勢力は、一つの選挙区に複数候補を擁立した。

このため、ほとんどの選挙区で自公候補が勝利して、自公が衆議院議席総数の68%を占有した。


今回の選挙で明らかになったことは、

自公と自公対峙勢力が正面から激突し、一騎打ちの選挙を展開すると、

互角の勝負になる

ということだ。

選挙区の事情により、自公が勝利する選挙区と反自公勢力が勝利する選挙区が出てくる。

候補者の力も影響する。選挙地盤がどちらに傾いているのかも影響する。

現在の日本の選挙制度では、自公が強い地域で一票の価値が大きく、

反自公が強い地域で一票の価値が小さいから、自公に有利な状況になっているが、

それでも、自公と反自公は互角の勝負をできる状況にある。

反自公=安倍政治を許さない!

の勢力が連帯した意味は極めて大きかった。

その結果として互角の勝負になったのである。

この地域の特性として、

自衛隊関係者の人々の比率が大きい、

ことを挙げることができるが、選挙直前に熊本地震が発生し、

熊本地震が発生して、自衛隊職員が精力的に被災地復興に取り組む姿が

有権者に印象付けられたことが、

戦争法を強行制定した安倍政権に対する批判票を後退させた面もあるだろう。

この選挙結果から改めて明確になったことは、

共産党を含む反自公勢力が連帯すれば、自公政権と十分に互角の戦いを実現できること

であり、

反自公陣営が今後の国政選挙で勝利を得るためには、

投票率の引き上げに取り組むことが極めて大事になるということ

である。


民進党のなかに、共産党との共闘、協力を批判する勢力が存在する。

この勢力が今後の要注意勢力である。

共産党との共闘、強力を批判する勢力は、

政策主張が自公と類似している勢力

である。

したがって、そのような勢力は民進党を離れて、自民または公明に移籍するべきである。

それが政治を分かりやすくする道である。

「主権者のための政治」を考えるなら、主権者が政策を軸に選択できる状況を政党の側が整えるべきである。

自公と同じ政策を主張しておきながら、「反自公」の旗を掲げるのはおかしい。

自公と同じ政策を主張するなら、「自公」の旗の下で選挙を戦うべきなのだ。


共産党が反自公勢力に加わり、共闘体制を構築することは、自公にとって、最悪の状況なのである。

自公は、共産党を含む反自公連合の成立を何よりも恐れている。

そのために、民進党内に潜む、自公と通じる勢力を通じて、

野党共闘、野党連合の構築を妨害しているのである。

この勢力は旧民主党を政権与党から弱小野党に転落させた主犯である。

この勢力は、安倍政権を誕生させるために全面的に協力した勢力であると言ってもよい。

そして、この勢力こそ、反自公政権の誕生を希求する主権者にとって、最大の敵なのである。


今後も、この勢力が野党共闘成立を妨害し続けるだろう。

しかし、今回の衆院補選で、反安倍陣営の共闘確立が、

決定的に威力を発揮することが改めて確認されてしまった。

参院選に向けての野党共闘確立を否定する根拠が崩壊したのである。

そして、この反自公連帯、反自公共闘は、

「安倍政治を許さない!」

の共通認識を有し、

「安倍政治」を特徴づける政策

に対して、基本的に反対の主張を内包している。


戦争法反対

原発稼働反対

TPP反対

辺野古基地反対

格差反対

そして

緊急事態条項反対

消費税再増税反対

である。


参院選、そして次期衆議院総選挙に向けて、

これらの政策主張をより明確化させることを考えるべきだ。

衆院選で、これらの政策において、仮に民進党候補者の一部が、

自公と同じ政策公約を掲げる場合には、

これらの政策で自公勢力に対峙する候補者を一選挙区一人で擁立することも検討するべきだ。

この場合、共産党候補が統一候補となり、

自公候補と民進党候補が同じ選挙区に出馬する事態も想定される。

「安倍政治を許さない!」主権者が、

共産党候補を統一候補者として支援し、

安倍政治を支持する有権者の票が自公候補と民進党候補に分散すれば、

共産党候補が当選するということも生じてくるだろう。

そうなれば、民進党はさらに没落の一途を辿ることになる。

民進党がこの道を選択したくないというなら、

反自公勢力による候補者一本化、選挙共闘、選挙協力を全面的に推進するべきである。

投票率を引き上げ、反自公陣営がひとつにつながれば、

必ず日本政治を変えられる。

そのことが改めて明らかになった衆院補選である。

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