★熊本震源と中央構造線でつながる川内・伊方原発ー(植草一秀氏)

NHKは2011年3月12日正午頃のニュース放送で次のように放送した。

「そして、原子力発電所に関する情報です。

えー、原子力安全保安院などによりますと、福島第一原子力発電所一号機では、

原子炉を冷やす水の高さが下がり、午前11時20分現在で、

核燃料棒を束ねた燃料集合体が水面の上、最大で90センチほど露出する危険な状態になったということです。

このため消火用に貯めていた水など、

およそ2万7000リットルを仮設のポンプなどを使って水の高さをあげるための作業を行っているということです。

この情報を繰り返します」

この原稿を読み上げたあと、約7秒間の沈黙があった。

すると、アナウンサーの横から

「ちょっとね、いまの原稿使っちゃいけないんだって」

という声が入った。

するとアナウンサーは、最初の原稿を繰り返し読み上げるのをやめて、

「改めて原発に関する情報です。

福島県にある福島第一原子力発電所の一号機では、

原子炉が入った格納容器の圧力が高まっているため、

東京電力が容器内の空気を外部に放出するベントの作業を始めましたが、

格納容器のすぐ近くにある弁を開く現場の放射線が強いことから、

作業をいったん中断し、今後の対応を検討しています。」

と別の原稿を読み上げたのである。

いまもネット上に、この音声が公開されている。

http://goo.gl/jKmTJ

NHKは、地震が発生した2011年3月11日の翌日正午のニュースで、炉心溶融の事実を報道したのである。

報道してしまってから、

「いまの原稿使っちゃいけないんだって」

の声が入り、事実を隠蔽した。

政府は、原発メルトダウンの事実を隠蔽し続けた。

これがNHKの正体である。


NHKは今回の熊本自身の震源地を図解する際に、鹿児島県を含む地図を一切映し出さない。

今回の地震は中央構造線で発生している。

本ブログ、メルマガでは、最初の地震が発生した翌日である4月15日午前10時の記事に、

1596年に発生した

慶長伊予地震、慶長豊後地震、慶長伏見地震

について記述するとともに、地震の連鎖、広がりについて警告を発した。

そして、4月16日午前1時25分にM7.3、震度6強の地震が発生した。

さらに、

午前3時55分頃に 震度6強

午前9時48分頃に 震度6弱

の地震が発生した。

地震の震源地は熊本、阿蘇、大分に分散しているが、そのすべてが

「中央構造線」

上で発生している。

その後、この1596年の地震についての報道が激増した。

中央構造線上の地震の連鎖に関する報道が激増したのである。

問題は、この中央構造線上に、

四国電力伊方原子力発電所

九州電力川内原子力発電所

が存在することである。

しかも、気象庁は4月17日になって、

「震源地が南西方向に移動する兆候が観測される」

という重大な事実を発表している。

地震の震源地の南西方向に、川内原発が立地している。

直ちに九州電力川内原発の運転を停止することが絶対に必要である。

NHKは震源地の地図を示す際に、鹿児島県が表示されないようにしている。

日本国民にとって、川内原発における直下型地震の発生は死活問題である。

当然のことながら、断層が鹿児島県川内原発方面に伸びているのかどうか、

川内原発近辺での地震発生の可能性を論じることが必要である。

結論として断定的な判断を下すことはできない。

しかし、同じ中央構造線の延長にある川内地域で巨大な直下型地震が発生する可能性を

排除することはできない。

リスク管理の鉄則は

「安全策を取る」

ことだ。

川内原発を直ちに運転停止するべきである。

2013年2月1日に、政府地震調査研究推進本部(本部長・文部科学大臣)の地震調査委員会が

次の事実を発表した。

川内原発のすぐ南にある五反田川断層は九州電力の発表より、

はるかに川内原発に近いことが明らかになった。

また、断層の長さも、九州電力の判定で19kmであったものが

地震調査研究所の調査で25kmであったことが判明した。

また、出水断層と甑(こしき)海峡中央断層の間は、

不自然に断層が途切れていることとされているが、断層は連続していると考えられるのであり、

川内原発に極めて近い地点を北東から南西に活断層が走っている疑いが濃厚である。

つまり、九州電力川内原子力発電所は、活断層の真上に立地している疑いが強い。

かつ、この活断層は、日本最大の活断層である、中央構造線上の断層である疑いが強いのである。


熊本で発生した地震は、当初東北方向に広がりが示され、

その後、現在にかけて南西に広がる傾向を示している。

気象庁が

「熊本県での地震活動の範囲がこれまでよりも南西側に広がっている」

という見解を示していることを軽視してはならない。

上記の政府地震調査研究推進本部は、

熊本県を縦断する日奈久断層帯を

「高野・白旗区間」、「日奈久区間」、「八代海区間」の3つの区間に分けている。

このうち、北東側の「高野・白旗区間」が4月14日の震度7を観測した地震でずれ動いたとみられている。

この区間とは別の区間の活動が活発になったと指摘されている。

「日奈久区間」ではマグニチュード7.5程度、

さらに南側にあたる八代海区間ではマグニチュード7.3程度

の地震が起きる可能性があると指摘されている。


この日奈久断層帯の南側に、鹿児島県の出水断層帯がつながり、

さらに、その延長上に甑海峡中央断層帯がつながっている。

この出水断層帯と甑海峡中央断層帯の間に川内原子力発電所が位置しており、

不自然に川内原発立地地点だけは断層帯が走っていないこととされているが、

実際には、原発直下を断層帯が走っている可能性が高い。

実際に、1997年3月26日にM6.6、震度5強、5月13日にM6.4、震度6弱の地震が発生している。

川内原子力発電所は、極めて危険な場所に立地しているのである。

他方、愛媛県伊方市に所在する四国電力伊方原子力発電所も、

中央構造線上に立地する原子力発電所である。

小出裕章氏も、「小出裕章ジャーナル」において、次のように述べている。

「昔、小松左京さんが『日本沈没』という小説を書いたことがあるのですが、

あの小説は日本最大の活断層に中央構造線という活断層があるのですが、

中部地方からずーっと関西を横断して、四国を横断して、九州まで伸びていくという巨大な活断層なのです。

その『日本沈没』では、巨大な中央構造線の活断層が割れて、

日本が太平洋に滑り落ちていくという、そういうことを書いた小説だったのですが、

伊方原子力発電所の敷地の前面に、その日本最大の活断層、中央構造線が走っているのです。

もし、それが動くようなことになれば、おそらく壊滅的な被害を受けるだろうと思います。

その上、伊方の場合にはそれだけでは済みませんで、

「日本でこれから巨大な地震が起きる」と世界中の地震学者が言っていまして、

東海地震、東南海地震、南海地震と呼ばれているような中部地方から関西、四国、九州に

伸びてくような地域に、巨大なやはり地震の渦がありまして、

そこで、近い将来必ず大きな地震が起きると世界中の地震学者が言ってるわけですから、

伊方原子力発電所というのは中央構造線のおそれ、

そして、南海地震のおそれというように、南北から挟まれた形で存在しています。」


NHKは震源地を示す地図から、意図的に鹿児島県を排除するというような、恣意的な放送をやめるべきだ。

NHKは政府の御用放送の傾向を一段と強めている。

熊本県南西部の日奈久断層帯の活動が活発化している。

この南に、鹿児島県の出水断層帯がつながり、その南が川内原発があり、

さらに、甑海峡中央断層帯につながっている。

日奈久断層帯から甑海峡中央断層帯にかけての大地震発生のリスクは

間違いなく高まっていると考えられる。

川内原発の運転停止を命じない安倍政権は、

国民の生命を第一に考える姿勢を保持していないと断じざるを得ない。

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