★伊勢志摩サミットの最大の難問に急浮上した南シナ海問題ー(天木直人氏)

きょう4月14日の各紙を見て驚いた。

 中国外務省の報道官がきのう13日の定例記者会見で明らかにしたという。

 在中国のG7参加各国大使を呼びつけて、

南シナ海問題に関するG7外相会合の共同声明を批判したことを明らかにしたというのだ。

 「不正確で誤った部分がある」としたうえで、

「域外の国家や組織が南シナ海問題をことさらに取り上げ、緊張を引き起こすことは建設的ではない」

と伝えたという。

 外交的には前代未聞の強硬な申し入れだ。

 ここまで中国が強硬であるとは驚きだ。

 しかし、実は私は中国がこの南シナ海問題でどれほど強硬であるかを身をもって体験していた。

 サミット外相会合直前の4月9日に私はCCTVのインタビューを受けた。

 あの村山談話の時もそうだった。

 CCTVは、安倍外交を批判する大きな問題が起きた時、

安倍批判の外交評論家の私に必ずコメントを求めてくる。

 その時のテーマは安倍首相の南シナ海をめぐる政策をどう思うかだ。

 私は対中包囲網に終始する安倍外交を批判したが、同時に南シナ海における中国の軍事拡張も批判した。

 どちらも憲法9条違反だと言った。

 その時のCCTVの東京特派員の態度は、私に批判的で、中国が正しいというものだった。

 私に異論を唱えるとは大した度胸だと思ったが、もちろんそれは東京特派員の責任ではない。

 南シナ海についての中国首脳の外交姿勢がそれほど強硬だということだ。

 一歩も譲らないと言っているのだ。

 果たして、この中国のG7参加国大使に対する申し入れを受けて、

5月末のサミットでは、南シナ海問題についてどのような共同声明が出されるのだろうか。

 もしサミット声明が外相声明から一歩も譲歩しなければ、

中国の南シナ海における軍事的拡張は、G7に包囲される事になる。

 中国の軍事的拡張包囲網に一番熱心なのは安倍首相だ。

 だから、議長役である安倍首相の勝利となる。

 もし外相会合の共同声明から少しでも後退すれば、G7は中国の外交攻勢に譲歩した事になる。

 それは、とりもなおさず、議長役の安倍首相は岸田議長がとりまとめた外相会合の共同声明を

そのまま踏襲しようと訴えたけれど、欧米の反対で聞き入れられなかったということになる。

 欧州首脳はもともとそれほど中国包囲に固執はしていない。

 だから米国が最終的に中国との関係に配慮したということになる。

 米国が中国に配慮すれば、安倍首相は従わざるを得ない。

 安倍首相の敗北である。

 はたして、5月末のサミットでは、南シナ海問題に関してどのような共同声明が発せられるのだろう。

 それは、4月11日の外相会合から5月末のサミットまでに、

国際情勢がどう変わるか、米中間の水面下の話し合いがどう進展するのか、にかかっている。

 パナマ文書問題が急浮上して来たと思ったら、

今度が南シナ海問題が安倍首相にとっての最大の難題として浮上して来た。

 サミットにおける南シナ海問題に関する共同声明から目が離せない。

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