★アベノミクスで国民生活悪化の動かぬ証拠ー(植草一秀氏)

夏の参院選の前哨戦となる衆院補欠選挙が告示された。

投開票日は4月24日。

北海道5区と京都3区で実施される。

京都では不倫問題で自民党の宮崎謙介氏が議員辞職したことを受けて補欠選挙が実施されるが、

自民党は候補者を擁立しなかった。

反安倍政権陣営では民進党の泉健太氏が立候補し、

安倍政権支持勢力ではおおさか維新の森夏枝氏が出馬した。

北海道5区では自民党公認で公明党推薦の和田義明氏に対して、

無所属で民・共・生・社推薦の池田真紀氏による事実上の一騎打ちになる。

いずれの選挙区にも共産党は候補者を擁立しない。

「安倍政治を許さない!」

との立場に立つ共産党の行動変化は目を見張るものがある。

共産党が候補者を擁立すると、反安倍政権票を一定水準吸収する。

反安倍政権陣営で共産党以外の候補者が擁立されると、反安倍政権投票は必ず分散することになる。

このことが、自公候補の当選を著しく促すことになる。

「安倍政治を許さない!」

の判断に立ち、安倍政権与党勢力を後退させるためには、

選挙において、安倍政権陣営に勝利しなければならない。

このことを最優先して、共産党が反安倍政権陣営の共闘体制確立に一肌脱いでいるのである。

共産党のこの行動を主権者は心から歓迎している。

これに対して、民進党の内部に、

「共産党との選挙協力をしたくない」

との意見が存在する。

この主張を示す民進党議員を主権者の大多数は批判している。

「安倍政治を許さない!」

の立場を取るなら、同じ立場を取る「同志」と連携することは必要不可欠である。

「あいつは嫌い、こいつも嫌い」

の身勝手を振り回すなら、そのような身勝手連中は、主権者の敵にしかならない。

安倍政治の暴走を止め、日本政治を刷新するには、

「安倍政治を許さない!」

と考える勢力が大同団結する以外に道はない。

安倍晋三氏は我がもの顔でこの国の政治を歪めているが、安倍政権の支持基盤は極めて脆弱なのだ。

衆院選比例代表選挙で、安倍自民党は全有権者の17.4%の投票しか得ていない。

公明党を合わせても得票率は25%を下回った(24.7%)。

「安倍政治を許さない!」勢力が結集すれば、必ず安倍政権与党勢力に勝つことができる。

いま必要なことは、

「安倍政治を許さない!」と考える主権者と政治勢力が連帯し、統一行動を示すことだ。

その最大のチャンスが4月24日に訪れる。

北海道5区と京都3区の有権者に、日本のすべての地域の主権者が呼びかけよう。

「必ず選挙に行こう!」

「そして、

安倍政治を許さない!

の意思を清き一票に託そう!」

この連帯行動で、4.24衆院補選に必ず勝利する。

ここで勝利の方程式を確立できれば、そのまま参院選に生かすことができる。

日本の主権者は騙されている。

安倍政権をメディアは「安倍一強」と表現するが、安倍政権は「強」ではない。「弱」である。

メディアは安倍政権の経済政策=アベノミクスは成功していると宣伝しているが、アベノミクスは成功していない。

安倍政権の経済政策=アベノミクスで国民の生活は著しく悪化している。

メディアはTPPは日本国民にプラスの効果をもたらすと宣伝するが、

TPPは間違いなく日本国民に取り返しのつかない不利益を与えることになる。

こうしたデマが流布されて、主権者は選挙に行かず、

全有権者の25%にも満たない自公支持者の投票で日本政治が支配される事態がもたらされている。

この現状を打破するには、主権者が必ず選挙に行き、

「安倍政治を許さない!」

統一行動を示せばよい。

反安倍政権統一候補に清き一票を投じればよいのだ。

主権者が連帯すれば、必ず勝利できる。

このことを、北海道5区、京都3区の主権者全員に徹底して伝達し、

4.24衆院補選を必ず勝利に導かねばならない。

第二次安倍政権が発足してから3年の時間が経過したが、

アベノミクスは日本国民にまったく利益を与えていない。

「トリクルダウン」

などという言葉が流布されたが、

「トリクルダウン」

などまったく発生しなかった。

発生したのは

「給料ダウン」

だけだ。

4月10日のNHK「日曜討論」で社民党の吉川元政審会長が

安倍政権の下で実質賃金も減少したと述べたことに対して、

自民党の小野寺五典政調会長代理が実質賃金はプラスに転じていると反論した。

暦年統計での実質賃金伸び率は次の通りだ。

2010年 +1.2%
2011年 +0.1%
2012年 -0.9%
2013年 -0.7%
2014年 -0.9%
2015年 -0.2%

統計は毎月勤労統計。

労働者1人当たりの現金給与総額の伸び率から消費者物価上昇率を差し引いたものだ。

現金給与総額とは、本給、時間外給与、ボーナスをすべて合わせたものだ。

安倍政権が発足したのが2012年12月。

2013年から2015年の実質賃金伸び率はずっとマイナスが続いている。

安倍政権の下で賃金所得が「ダウン」してきたのは紛れもない事実なのだ。

この実質賃金伸び率が2015年末ごろから、小幅プラスに転じた。

小野寺氏はこの点を強調したのであるが、これは、アベノミクス失敗の成果なのである。

月次統計で、ようやく実質賃金伸び率がプラスに浮上したが、その最大の理由は、

インフレ率の低下

である。

アベノミクスは第一の矢に「金融緩和」を置いたが、その目的は、

「インフレ誘導」

だった。

2013年から2015年にかけて、実質賃金の大幅マイナスが続いた主因は、インフレ率の上昇にあった。

ところが、アベノミクスは失敗した。

インフレ率は元のゼロインフレ=デフレに逆戻りした。

しかし、インフレ率がゼロに回帰したために、ようやく実質賃金伸び率が小幅プラスに転じたのである。

「実質賃金がプラスになった」

と自慢するような話ではない。

「インフレ誘導に失敗した結果、実質賃金がプラスになった」

だけであり、

「インフレ誘導という政策が間違っていた」

ことをまずは素直に謝るべきなのである。

安倍政権が国民から強く支持されているという事実は存在しない。

小選挙区制、参院1人区などで、反安倍政権陣営の候補者が複数いたために、

票が割れて自公候補が当選しただけなのだ。

だから、反安倍政権陣営が候補者を一人に絞り込めば、選挙結果が、オセロのように大逆転する。

安倍政権の経済政策で主権者の生活は確実に悪化した。

失業率が下がったというが、全体の経済成長率は大幅にダウンしたのであるから、

失業率が下がったということは、労働者1人当たりの賃金が著しく悪化したことを意味している。

そして、TPPは長期的に、日本の主権者の生活を確実に破壊するものである。

いま安倍政権にブレーキをかけなければ手遅れになる。

北海道5区、そして、京都3区の主権者は、

「安倍政治を許さない!」

一点を重視して、必ず選挙に足を運び、

反自公統一候補に清き一票を投じなければならない。

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