★オバマ広島訪問実現にケネディ大使を使った外務省ー(天木直人氏)

想定をはるかに超えるほど、週明けのきのう4月11日はG7外相会談をめぐる報道一色だった。

 そして新聞休刊日明けのきょう4月12日の各紙も、そのことばかりだ。

 しかし、どの報道を見ても、発出された外相声明や広島宣言を目を凝らして読んでみても、

具体的な成果は何か、さっぱりわからない。

 原爆投下について米国が謝罪したのか、オバマは広島に来るのか、

広島の被ばく者たちは満足しているのか、「核なき世界」は前進したのか、何一つ見えて来ない。

 それは当然だ。

 困難な問題を先送りして、いや、そもそもはじめから議論を避け、同床異夢のまま、

岸田外相の議長役の演出とオバマ大統領の広島訪問実現だけに焦点を当てたものであったからだ。

 ケリー国務長官の広島訪問はその準備でしかなかったからだ。

 そんな報道の中で、ひとつだけ私が注目した報道があった。

 それはきのうの夜のNHKが、ケリー、オバマの広島訪問実現に

外務省がケネディ大使を最大限活用した事を教える特集報道を流したことだ。

 このような外交の裏話を明かす事は普通はありえない。

 それどころか外務省がもっとも嫌うことだ。

 それをあえてNHKが流した。

 しかも、その画像は外務省と米国政府の協力なしには作る事の出来ない外交そのものであった。

 これは異例な報道だ。

 これは、外務省とNHKが一体となって安倍外交を売り込み、

岸田外相を次期総裁の最有力者に仕立て上げ、

ケネディ大使はお飾りではなかったと最後に花を持たせ、

そして何よりも日米の結束を国民に宣伝したということだ。

 それを米国が後押ししたということだ。

 これは、とりもなおさず、日米関係の将来に対する不透明さが高まり、

日本国民の意識が今後どうなっていくかについて日米両政府が不安を抱き始めたという事である。

 そして、この危機を乗り切れば日米同盟は未来永劫続くことになる、

それに向かって努力、協力しよう、と、いまの日米両政府の関係者が話し合っているという事だ。

 その事を見事に教えてくれたNHKの特集番組であった。

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