★鳥越俊太郎「メディアが政治をチェックするのでなく、政治がメディアをチェックする時代になった。
安倍さんは批判に耐えられない異常な体質」ー(孫崎享氏)

鳥越俊太郎はもともと毎日新聞の記者。1988年4月、サンデー毎日編集長。

1989年8月に毎日新聞社を退職し、テレビ朝日『ザ・スクープ』の司会に就任。

テレビ朝日『スーパーモーニング』のレギュラーアンカー等を経る。

『月刊マスコミ市民』2016年 4 月号は、

鳥越俊太郎「安倍政権下におけるメディア」を掲載した所、その抜粋。

・安倍政権は、自分への批判に神経を尖らせ、露骨にメディアに介入してきました。

官邸ではすべての報道番組を細かくチェックすると同時に、メディアのトップと会食を頻繁に重ねています。

・今の安倍政権はテレビ局の上部にプレッシャーをかけて現場に降ろしていくやり方です。

現場では、最初はおかしいと思っても、このまま続けるとまずいと感じるようになり、自粛と委縮が進んでいます。

・この3月で報道ステーションの古舘さんが降り、ニュース23の岸井さんが降り、

クローズアップ現代の国谷さんが降ります。民放もNHKも日本のテレビ局はこれから先、

安倍政権を正面から批判する番組はなくなると思います。

 暫くは政権を強く批判したり、間違っていることを厳しく指摘する言論は、

放送では封殺に近い形になるのは間違いないと思います。

コメンテーターにしても、安倍政権を批判する人は使われません。

ますアンカーマンがはずされ、キャスターがはずされ、コメンテーターも問うたされていくでしょう。

・日本のメディアは宣伝とまではいかなくとも、都合の悪いことは言いませんね。

・一応は権力に是々非々で臨んでいたTBSとテレビ朝日が「是々」の部分だけを言って、

「非々」をあまり言わなくなりました。

・NHKは本当に変わりました。

安倍さんがまだ一国会議員の時に従軍慰安婦の問題でNHkに介入しましたが、

あの時の経験が生きていると思うのです。政治の力で介入すれば、一時は抵抗できても、

最終的には権力構造の中で政治が勝つことを学んだのです。僕はそれが突破口だったと思います。

・安倍政権になってからは、あからさまにメディアチェックを始めました。

自民党政権といえども、これまではそんな露骨なことはしませんでした。

・政権に都合の悪いことを書かれると支持率が落ちますので、

自民党は体験してメディアに欠かせないことを学んだのです。これに対してメディアは何もできません。

・日本のメディア経営者の頭にあるのはジャーナリズムではなくて、

いかに会社の経営をうまくやるかです。それぐらい日本のメディアの世界は腐っています。

・日本の新聞は一九〇〇年代の終わり頃から、

朝日、毎日、東京などのリベラルグループと産経・読売、日経のライトウイング二分されました。

そうした中で朝日は一応リベラルのリーダーとして位置を保っていましたが、

従軍慰安婦問題で狙い打たれ、ガタガタに崩されました。

かつての朝日のリベラリズムの気概は、薄くなってきたのでないでしょうか。

・安倍さんの国会答弁を見ていても、自分に対する批判を受け止められないのがよくわかります。

同じように、メディアが自分の言動を批判的に報じることに耐えられない、

そういう異常な体質なのです。今までの歴代総理でそんな人はいませんでしたね。

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