★TPPを絶対阻止するべき理由がどこにあるかー(植草一秀氏)

3月30日に実施された

「TPPを批准させない3.30国会行動」

http://nothankstpp.jimdo.com/

国民の同意なきTPP協定

止めるなら今しかない!

には、700名の主権者が参集して熱気に溢れるアクションが繰り広げられた。

私もアクションの呼びかけ人の一人として座り込み、決起集会、デモに参加させていただき、

集会では一言発言もさせていただいた。

民進党、日本共産党、社会民主党、生活の党と山本太郎となかまたち、

無所属の国会議員も多数参加してTPP批准阻止に向けての決意を表明した。

請願デモでは、民進党、共産党、社民党の国会議員が国会において出迎え、

運動に対してエールを送ってくれた。

極めて意義深いアクションが実現したことを報告させていただく。

しんぶん赤旗

はこのアクションを写真入りで大きく報道した。

http://goo.gl/3wFhEV

批准強行狙う安倍政権止めよう
“TPPノー”国会包む
66団体と野党 座り込み・決起集会


いのちより大企業の利益を優先する環太平洋連携協定(TPP)にノーの声をつきつけようと、

30日、「TPPを批准させない国会行動」が行われました。

TPP協定の批准案と関連法案が4月5日にも審議入りし、

安倍晋三内閣は今国会で批准を強行しようとしています。

これを阻止しようと、700人が参加。国会前での座り込み、

議員要請、決起集会、国会請願キャンドルデモをくり広げました。

「TPPはいらない」と自民党本部前を通って抗議する人たち
=30日、東京都千代田区

主催は、TPPの危険を訴える第一線にたつ28氏が呼びかけ、66団体が賛同した

「TPP批准阻止アクション実行委員会」です。

憲政記念館ホールでの決起集会では、

「TPPを許さない、脱退するため最後の最後まで力を合わせよう」の発言に

「ようし」との声と大きな拍手が起きました。

日本共産党、民進党、社民党、生活の党、無所属の議員が多数かけつけました。

日本共産党の畠山和也衆院議員が「党派、立場の違いを超えて

TPPを批准させない共同を」とあいさつしました。

前日本医師会会長でTPP阻止国民会議の原中勝征代表世話人が開会あいさつ。

TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会の醍醐聡氏ら呼びかけ人は、

一部企業・投資家の利益のため、日本農業・農山村を崩壊させ、食の安全、医療、経済主権をも侵す

TPP協定の危険な内容を告発。

批准阻止へたたかう決意を表明しました。

各分野・地域から10人が発言。

岩手県県民会議役員で岩手県農協中央会の畠山房郎常務や農民連の白石淳一会長が、

国会決議と公約を違反して農業つぶしを強行する安倍内閣を批判しました。

TPPに反対するアメリカ、ニュージーランドの活動家からも連帯メッセージがよせられました。

これに先立つ、議員会館前での座り込み行動には、北海道や九州など全国各地から参加。

TPPに反対する「ママデモ」の声に合わせて、「国民無視した批准はやめろ」などと力強くコールしました。

TPPについてもっとも懸念されていることは、その内容が広く人々に知らされていないことである。

安倍政権は、

1.TPPの内容を国民に伝えず

2.TPPで直接影響を受ける農業関係者に目先だけの「手切れ金」のような金を掴ませ

3.国会で十分な審議もせずに批准を強行する

戦術を採ろうとしているように見える。

原発、憲法、TPP、基地、格差

の五つの問題のなかで、もっとも幅広く、そして、もっとも長期にわたり、

もっとも深刻な影響を与える問題は、TPPである。

TPPはグローバル強欲巨大資本=多国籍企業の、多国籍企業による、多国籍企業のための枠組みであり、

日本収奪計画の最終兵器であると言ってよいものである。

この最終兵器TPPを日本に装着させてはならない。

私が強調したことは、このような市民行動、抗議行動は、

手段であって目的ではない

ことである。

市民アクションは意義のあることだ。

国会議員も参加してTPP阻止に向けて決意を示すことは重要だ。

しかし、こうしたアクションを自己満足の対象としてはならない。

あくまでも目的は批准を阻止すること、あるいは、万が一批准されてしまうことがあろうとも、

必ず、日本をTPPから足抜けさせることである。

そのためには、国会における議席の構成を変えることが必要である。

そこまで必ずやり抜く覚悟と行動力が求められる。

TPPは日本の主権者に何の利益ももたらさない。

TPPは主権者の利益拡大を実現する枠組みではなく、

グローバル強欲巨大資本=多国籍企業の利益拡大を実現する枠組みだからである。

この点を確認して、主権者と優良政治勢力が連帯して、TPPを必ず葬らねばならない。


TPPは日本の農業を破壊する。

TPPは日本の公的医療保険制度を破壊する。

TPPは食の安全・安心を破壊する。

そして、TPPは日本の主権を奪うものである。

農業について、安倍政権は

「聖域を守る」

ことを公約にした。

「聖域なき関税撤廃を前提とするなら」

などの言葉の綾を絡めて安倍政権は「TPP断固反対」の公約を述べた舌の根も乾かぬうちに

TPP交渉参加を決めた。

2012年12月の選挙で「TPP断固反対」を唱えながら、

2013年3月にはTPP交渉参加を表明したのである。


その際、コメ、小麦、牛肉、砂糖、乳製品

の重要5品目は聖域として関税を守ることを約束した。

しかし、この公約すら守られていない。

農林水産品2594品目のうち、2135品目の関税が撤廃される。

8割が関税撤廃である。

重要品目関連の586品目のなかでも174品目が関税撤廃である。

そして、この174品目についても関税撤廃の「除外品目」にはされず、

7年後までに見直しされることが決められた。

「聖域を守る」公約は反故にされたのである。


安倍政権は農家による農業を切り捨て、多国籍企業による農業を推進する構えだ。

その農業はグローバル巨大資本の利益拡大のための農業であって、

日本の主権者の利益拡大のための農業ではない。

食料危機が発生したとき、日本の主権者は食糧を確保する手段を失う。

効率の悪い中山間地の農地は確実に荒れ地と化すだろう。

農村の共同体文化は壊滅するだろう。

そして、これが同時に主権者の食の安全と安心を破壊するのである。


日本がTPPに参加すると、海外で承認を受けた医薬品、医療機器が、

国内の審査、承認手続きを経ずに導入されることになる。

医療費が急増し、公的医療保険制度でこれをカバーすることができなくなる。

必然的に医療は公的保険医療と民間保険医療の二本立てに移行することになる。

利益を追求する医療従事者はパイが拡大する民間保険医療にシフトを強めるだろう。

公的医療保険にしか加入できない大多数の主権者は、

十分な医療を受けることができない状況が発生するのだ。

日本の主権者は、このリスクを知らされていない。

日本のメディアが健全なら、毎日のようにTPP問題をワイドショーが取り上げるだろう。

医療の問題は国民の生活そのものだからである。

TPPに参加して、なぜ、日本の公的保険医療制度が崩壊することになるのか。

このことをかみ砕いて解説すれば、

多くの主権者がそのような情報番組に強い関心を寄せることは間違いないからだ。

しかし、メディアは政治権力の意向を受けて、こうした重要な情報伝達を行なわない。


食の安心、安全はすべての主権者のいのちに関わる問題だ。

BSEのリスクを持つ牛肉。

遺伝子組み換え食品のリスク。

残留農薬。

ポストハーベストの防カビ剤。

アフラトキシン汚染のリスク。

抗生剤漬けの食肉

成長ホルモン漬けの食肉

ラクトパミン

食品添加物

など、危険は山積している。

これらの危険を忌避するために、予防的に取られている各種規制が、

「資本の利益を妨げている」

という理由で排除されることになる。

これらの規制を正当化するためには、

「科学的な立証」

が必要だとされる。

しかし、その「立証」のハードルは極めて高い。

「危険がある可能性があるから規制する」

ことを許さず、

「危険があることが科学的に立証されない限りは規制しない」

行政が強要されるのである。

大資本の利益のためにいのちをリスクに晒す選択が強要されるのだ。


そして、すべての根幹にある、TPPの最終兵器たる特質を形成しているのが

ISDS条項

である。


ISDS条項は国家の主権を奪う。

日本のことを日本が決められないという条項だ。

日本を支配するの主体が、日本の主権者から、多国籍企業に変わる。

多国籍企業による日本支配に日本の統治が変るのである。

こんなことを許してよいわけがない。

安倍自民党は

「国の主権を損なうようなISD条項に合意しない」

と公約に明記した。

「国の主権を損なわないISD条項」

など存在しない。

「人の命を奪うような殺人をしない」

というときに

「人の命を奪わない殺人」

など存在しないのと同じだ。

ISDS条項入りのTPPに参加することは、主権の喪失そのものを意味する。

TPPの真実を広く人々に伝えて、日本のTPP参加を阻止しなければならない。

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