★着弾した小銃弾を展示していた陸自福知山駐屯地の危険性ー(天木直人氏)

南スーダンに国連平和維持活動(PKO)で派遣されていた京都府福知山市の陸自駐屯地部隊が、

宿営地内に着弾したと思われる小銃弾を持ち帰り、それを福知山駐屯内にある資料館に展示していたという。

 きょうの一部の新聞(朝日、東京)がこれを見つけて報じている。

 これに対し、中谷防衛大臣は「着弾があったかどうか調査している」と繰り返し、

菅官房長官は「当時の南スーダンPKOの活動地域で、

我が国のPKO法における武力紛争が発生したとは考えておらず、

(紛争当事者間の停戦合意成立など)参加五原則は維持されている」と強調したという。

 いずれも、自衛隊が戦闘に巻き込まれたわけではない、PKO法違反をしていない、と、

この事が政治問題化しないように躍起だ。

 しかし、この事件の問題の本質は、自衛隊が危険な状況下に置かれていたという事ではない。

 官邸も防衛大臣も知らないところで、そのような銃弾が堂々と展示されていたという事実だ。

 事実、防衛省は、このような銃弾が展示されていた事を「今回はじめて知った」と認めている。

 そして不適切であるとして展示を直ちに撤回している。

 すなわち今度の銃弾展示は、政府の知らないところで、

福知山駐屯地部隊の判断で行われていたということだ。

 そして福知山駐屯部隊が展示した背景には、

自分たちは戦闘状況の中で勤務していたという高揚感の誇示意識があったのではないのか。

 まさしくシビリアンコントロールの及ばない事への危惧を象徴する事件だ。

 しかも、その判断が自衛隊幹部の判断を仰ぐことなく、

福知山駐屯地の独断で展示されていたとしたらどうか。

 その展示について、誰も問題提起することなく、

今度のニュースを受けて慌てて撤収したとすればどうか。

 調査すべきは着弾があったかどうかではない。

 このような展示が行われ、それが今日まで放置されていた背景だ。

 今度の銃弾展示事件が教えてくれたもの。

 それはシビリアンコントロール逸脱の危険性に違いない。

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