★オバマの広島訪問が実現すれば、それは最悪であるー(天木直人氏)

きょうの各紙が書いた。

 米国のゴットメラー国務次官が22日、

オバマ大統領が伊勢志摩サミットに合わせて被爆地の広島を訪れる可能性について記者団に語ったと。

 報道されているその言いまわしは微妙だ。

 すなわち「ホワイトハウスが検討している。(結果を)推測するようなことはしない」と語ったらしい。

 さらに続けて、「大統領は広島を訪問できれば光栄だと語っている。

どのように実現するかは彼が決めること」と語ったらしい。

 これを報じる毎日は、オバマ政権の核軍縮への強い意思を示す狙いがあるが、

中国やロシアが核戦略強化に傾斜する中、政治リスクは大きいと懐疑的に書いている。

 これを報じる朝日も、「米国では原爆投下に肯定的な意見が根強く、

大統領の訪問は退役軍人らの反発を招く恐れもある」と書いている。

 しかし、その程度の理由は、今のオバマ大統領の広島訪問を妨げる理由にはならない。

 私は訪問が実現する可能性のほうがはるかに高いと思う。

 あるいはもう決まっているのではないかとすら思う。

 なぜか。

 何一つ実績を示せない安倍首相が、外務省を通じて強くそれを働きかけて来たと思うからだ。

 そして実績を残したいと考えるオバマ大統領が、

キューバ訪問についで広島訪問を決断しても不思議ではないからだ。

 もはや去りゆくオバマ大統領はその気になれば何でもできる。

 しかし、私はこのオバマ大統領の広島訪問は、最悪であると考える。

 米国大統領の広島初訪問は、日米外交史の中でも歴史的な意味を持つ。

 当然のことながら、一度しかない。

 米国の大統領が二回目以降に広島を訪れても、だれも注目しない。

 そのような歴史的な広島訪問の実現は、当然の事ながらそれにふさわし首脳の時に行われるべきだ。

 憲法9条改憲を公言する安倍首相がそれにふさわしくないことは言うまでもない。

 辞任直前のオバマ大統領が広島訪問を行ってもその価値は半減する。

 出来れば、権力の絶頂にある米国の大統領の時に、一度しかない広島発訪問は行われるべきだ。

 しかし、今度のサミットでそれが行われる以上、今のうちからメディアはそれを書き立ててもらいたい。

 書き立てて、安倍首相のサプライズ狙いだけは阻止してもらいたい。

 ただでさえ半減する価値だ。

 いまからどんどん報じて、ますますその価値を減じてもらいたい。

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