★テロ対策にはイスラム差別をなくせ、と唱えたピケティの慧眼ー(天木直人氏)

イスラム国のテロ事件が起きるたびに聞かれることは、どうしたらテロをなくせるか、だ。

 私のところにもそういう問いが寄せられる。

 明確な回答など誰も示せるはずがない。

 もちろん私も示せない。

 唯一はっきりしていることは、武力では解決出来ないということだ。

 そんな中で、きょう3月24日の朝日新聞に掲載されていた、

3月14-15日付仏ルモンド紙におけるトーマス・ピケティ氏の指摘は慧眼である。

 あの世界的ベストセラー「21世紀の資本」を書いたパリ経済学校教授のピケティ氏の事である。

 彼はその記事の中で、やはり経済学者のマリアンヌ・バルフォール氏の詳細な統計分析を引用し、

欧州社会におけるアラブ・イスラムに対する差別と偏見の強さ、

そして、その結果もたらされるアラブ・イスラムの絶望さこそが、

彼らをテロに追いやる根源である、「イスラム嫌い」の衝動を抑えよ、と指摘している。

 けだし慧眼だ。

 日本人の専門家からは出て来ない分析だ。

 そして、なぜそこまで、根拠のないアラブ・イスラムに対する偏見と嫌悪が生まれるのか。

 それは、イスラエルのパレスチナに対する偏見と嫌悪にその根源がある。

 私は自らの体験でそう確信してる。

 パレスチナ問題の公正で永続的な解決が実現しても、イスラム国のテロはなくならないかもしれない。

 しかし、パレスチナ問題の公正で永続的な解決なくして、イスラム国のテロは決してなくならない。

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