★消費税増税再延期はアベノミクス破綻の決定的証拠ー(植草一秀氏)

消費税について、私は2017年4月の消費税再増税を凍結・中止するべきだと主張してきた。

そして、その前に、2016年度の財政政策運営が超緊縮に振れることを指摘してきた。

円高傾向に転じた金融環境の下では、株価は下落しやすい。

安倍政権が株価下落基調に歯止めをかけることを目指すなら、

財政政策の方向転換が必要であることも指摘してきた。

その主張が安倍官邸で重視されてしまっているようだ。

2014年末に、安倍政権は2015年10月の消費税率10%を先送りすることを決定した。

私は『日本の奈落』(ビジネス社)で、この政策転換を主張した。

安倍政権は増税先送りを決定し、株価が反発したところで選挙を迎えて選挙に勝利してしまった。

「安倍政治を許さない!」立場からすると、こうした政策提言を安倍政権が採用して、

安倍政権が延命してしまうことは望ましいことではないだろう。

この部分が痛し痒しである。

しかし、私の経済分析と政策提言は、確実に安倍官邸に伝わっている。

そして、その提言通りの政策転換が模索されているように見える。

具体的には、2016年度当初予算成立後に直ちに総合経済対策の策定に進む。

そして、2017年4月の消費税率10%への引上げを再先送りする。

この政策提示を実行する準備が進められていると見られるのだ。

そのためのセレモニー=儀式が執り行われている。

海外の著名な経済学者を呼んで、意見を聞く会合が重ねられている。

しかし、その姿ははなはだ奇異なものである。

日本が植民地であるなら、海外の識者を呼んで意見をヒアリングする会が、

日本中枢で行われてもおかしくはない。

しかし、日本は独立国であり、日本の経済政策については、

誰よりも、日本の政策当局者、日本の為政者が知っていなければならないはずなのだ。

著名な学者であると言っても日本を専門に分析しているわけではないのだ。

日本の経済政策について、海外の学者から見解を聞かなければ判断がつかないということ自体が問題である。

この点について、小沢一郎(事務所)氏が、ツイッターで極めて的確な論評を発表している。

「「再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。

平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします」

「確実に3年後に私たちは消費税引き上げの状況をつくり出すことができると考えたわけであります」

消費税は自己保身の道具ではない。

2014年12月の選挙に際して、安倍首相は上のように述べた。

2017年には消費税増税を実施すると断言している。

その安倍氏が、消費税再増税再延期に向かって坂を転げ落ちているのだ。

小沢氏の次のツイート。

「次回こそ景気理由で増税延期をすることはありません!断言できます!

時間をください。必ず景気は回復します!

だから解散させてください!

と安倍総理は確かに言った。

それがわずか一年ちょっとでこの状態。

もはや嘘つきのレベルを通り越している。

選挙だけが目当てで、国民をあまりにもバカにしている。」

このような事実のトレース、追跡が大事なのだ。

政治家は選挙の際に公約を明示する。

主権者は、次の選挙の際に、その公約を徹底的に検証する。

この作業がなければ、ペテン政治がまかり通る。

2012年の総選挙で野田民主党が大惨敗した最大の背景は、

本ブログ、メルマガが流布した

「野田佳彦のシロアリ演説」

http://www.youtube.com/watch?v=y-oG4PEPeGo

だった。

小沢氏のツイートはさらに続く。

「安倍政権は、今になって増税見送りを提言する海外の経済学者をかき集め、

毎日せっせと増税見送りの地ならしに躍起。

全部自分の手柄です!と。

これをエサに同日選だ!と。

ここまで無責任で、ここまで税制をおもちゃにして、ここまで大うそつきの政権はなかなかない。

経済が結果を出す→全く出てません。」

「消費税増税が政策的に論ぜられることはもはや皆無。

今や安倍政権はアベノミクスの失敗を隠ぺいする手段として消費税だけを悪役にしている。

議員定数削減等やることもやらずして誰が引き上げたのか。

「皆さんの嫌う増税は延期します!だから投票してください!」と。

こうなれば、もはや政治ですらない。」

「よくよく冷静に考えるとおかしな話である。

アベノミクスに都合のいい学者ばかり海外からかき集めて

「消費税増税延期を」などといっているが、

そもそもアベノミクスがなぜ失敗したのかについての議論は一切なし。

いつものパターンだが、本当に恐ろしい話である。

よくよく国民も馬鹿にされたものである。」

「皆さんの嫌がる増税は延期します!これで前と一緒ですよ!

さあ同日選ですよ!アベノミクス失敗?忘れてください!

増税しないんだから!と、

まあ自民党の幹部達ははしゃぎまくっている。

いよいよ憲法改正だ!選挙終わったらすぐ増税で、次は当分選挙やらない。

忘れた頃にまたやろう。そんな感じだろう。」

これこそまさに、正真正銘のゲスの極みである。

増税再延期はアベノミクスの破綻を意味する。

アベノミクスそのものが論理破綻を起こしている。

金融緩和=インフレ誘導は大失敗で、

それを糊塗するために実行したマイナス金利導入決定は銀行株価の大暴落を招いた。

アベノミクス第二の矢は財政出動としていたのに、2014年度は大増税で超緊縮。

2015年度も緊縮で、2016年度は2014年度を上回る超々緊縮。

景気判断は下方修正で、選挙目指して今度は財政出動。

そして、消費税再増税再延期で選挙?

完全に支離滅裂なのである。

そして、アベノミクス第三の矢である成長戦略が、

日本を格差大国、貧困大国に転落させている。

主権者は政策失敗者を退場させることを最優先しなければならない。

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