★私たちはいま最大の危機に直面しているー(植草一秀氏)

3月18日開催の

オールジャパン平和と共生
https://www.alljapan25.com

主催

「安倍政治を許さない!参院選総決起集会」

第2部

「原発・憲法・TPP・基地・格差問題を考える」

での各登壇者の発言を高橋清隆氏のブログ記事

「野党各党と市民が「安倍政権打倒」で気勢
 オールジャパン平和と共生」

http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/1896839.html

から転載させていただく。

[基調講演]

第2部は、オールジャパン平和と共生25%連帯運動の最高顧問を引き受けてくださっている

鳩山友紀夫元首相の基調講話と、

同じくオールジャパン顧問の加藤好一生活クラブ生協連合会長のあいさつの後に、

私たちの目の前にある重要政策課題について各界の識者、文化人などが講演した。

鳩山元首相は、2014年の衆院選で1700万人の棄権があったことを取り上げ、

「これは自民党に投票した数と同じ」

と指摘。

「どの党に入れたらよいか、定まらなかったから」

と自身の責任を省みながら、

「野党5党の協力はすばらしいこと。

政治関心のない方に『そうじゃない、倒せるから』と伝えていただき、大きなうねりを起こそうではないか」

と呼び掛けた。

鳩山氏は政治が抱える諸問題にも言及。

とりわけ格差拡大について、

「米国では上位1%が99%を占有している。

そのような国を模した経済政策はやめさせるべき」

と主張。

憲法改正について

「国民の権利を強めるための改正ならいいが、国の権限を強める改正は絶対に許すわけにはいかない」

と指摘した。


関連死者の思い踏みにじる再稼働[原発]

原発問題については、作家の落合恵子氏が講話し、

元京大助教の小出裕章氏と「福島応援プロジェクト茨城」事務局長の小張佐恵子氏のメッセージが紹介された。

落合氏は、原発事故後の福島で触れ合った人々とのやり取りを紹介。

「娘夫婦の家などを転々とした90代の女性が『年寄りは足手まといになるだけ。

私はお墓に避難します。お元気で』と遺書を残した。

安倍さんは自らの命を絶った人、避難する中で命を奪われた人たちの思いを踏みにじっている」

と述べ、再稼働を批判した。

さらに落合氏は、米国大統領選で共和党候補のドナルド・トランプ氏の暴言や差別意識を

日本のメディアが笑っていることに触れ、

「おかしい人なら、日本にもいるじゃないか。どうしてそのことを言わない。

首相とご飯を食べてそんなにうれしいのか。

どんなに小さくても、誇りをなくしたらジャーナリズムとは言えない」

とテレビ・新聞報道を批判した。


小出裕章氏の以下のメッセージが読み上げられた。

「本日の集会にご参加くださった皆さん、ありがとうございます。

私は人生の大半を原子力の場で生きてきました。

当初は原子力平和利用に夢を抱き、原子力発電を推進したいと思いました。

しかし、ごく初期に原子力だけは許してはならないと思うようになりました。

なぜ、私がそうなったかといえば、もちろん原子力が抱える破滅的な危険性がありましたし、

それはすでに福島第一原子力発電所事故で事実として示されました。

しかし、私が何故、原子力に抵抗しようと思ったかといえば、

それは原子力が抱える技術的な問題のためではありません。

それは原子力が徹頭徹尾差別的であるが故で、

「オールジャパン、平和と共生」が掲げている原発、憲法、TPP、基地、格差の各問題に通底していることです。

この場に参加してくださっている皆さんにたいしてメッセージをお送りする立場に私があるとは思いません。

でも、次の国政選挙はとても大切だと私は思います。

昨年7月18日に、私は「アベ政治を許さない」のポスターを掲げて、

今私が住んでいる街・松本の駅前に立ちました。

11月3日以降は毎月3日に立っています。

次の選挙では何としても安倍自民党を退陣の方向に行かせたいと願います。

そのためには、ただ一点それだけのために連帯する必要があると思います。

この集会にご参加くださっている皆さんがそれぞれの個性を生かして活動してくださることを願います。」


主権者がつくる平和[憲法]

憲法問題については、NPJ代表の梓澤和幸弁護士と伊藤塾塾長の伊藤真弁護士が講話した。

梓澤氏は、防衛相を務めた石破茂地方創生担当相がBS番組に出演した際の話を紹介。

石破氏は、キャスターに自衛隊と軍隊の違いを問われ、

「自衛隊員は自衛隊法で7年しか処罰されないが、

軍は言うことを聞かない人を死刑か無期、または懲役300年にできる」

と得意顔で答えたという。

「あなたの孫、あなた自身が米国の兵隊となって人を殺し、殺される。

これでいいのかという人を増やすため、こういう情報を家に持ち帰り、

関係ないと思っている家族や近所の人に伝えることが大切」

と訴えた。

伊藤氏は、「安倍政治を許さない」のバッジを付けて登壇。

「まだ自由に物が言える社会だ。徹底的に使わないと」

と促し、憲法前文を紹介した。

「『自由のもたらす恵沢を確保し』とは人権の保障、

『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意』とは戦争放棄を指す。

それぞれ共生と平和に当たり、この2つの目的を達するために国民主権が存する」

と解説した。

「これは13条の幸福追求権でさらに具体化されている。

その政治への表れが民主主義。

国は与えられるものではなく、私たちがつくり上げるもの。

法の論理・法による支配に基づくもので、誰か一人に支配される国を目指しては来なかった。

安倍による支配はとんでもない。

私たち一人ひとりが主権者として国をつくらなければ」

と述べた。


巨大なあっせん利得[TPP]

TPPについては山田正彦元農水相と鈴木宣弘東大教授、孫崎享元外務省国際情報局長、

食政策センタービジョン21の安田節子代表が講話した。

山田氏は、TPPの国会承認と関連11法案を審議する特別委員会が月内に設置され、

衆院で4月、参院で5月に決まるとし、

「日本だけが一番最初に批准してしまう。米国はトランプさんもヒラリーさんも、

有力な大統領候補はみんな反対。絶対に批准はない」

との見方を示した。

「2012年の総選挙で『TPP断固反対』と戦った自民党が、国を売るような協定を進めた。

他の国が二の足を踏む中で『安倍さんだけが、日本だけが、どうしてやってしまうのか』などと

考えられるのを恐れ、参院選の争点にされたくない。

強行採決を考えているかも」

と警告した。


鈴木氏は

「TPPはぎりぎりまで大変なけんかをして決まったと言われているが、うそ。1年前に決まっていた」

と明言。

2014年4月、東京・数寄屋橋のすし屋でオバマ大統領と安倍首相が会食した際、一部のマスコミが

「秘密合意あった。牛肉9%」

とすっぱ抜いたことを指摘した。

「今回決まった数字と同じ。あのときすでに決まっていた。

早く認めると農家が怒るから、頑張ったふりをした。

その間、たくさんの方が苦しみ、農業をやめた方がいるが、TPP参加に突き進む彼らにはどうでもいいこと。

自分の周りにいる利害ある人の利益を高めるためのルールを無理やり押し付け、

それによって自分の地位を守る。

今だけ、金だけ、自分だけの権化のような方が暴走している」

さらに鈴木氏は

「甘利さんはあっせん利得の疑いで辞任に追い込まれたが、TPPこそ巨大なあっせん利得罪。

米国でTPP推進の共和党ハッチさんはファイザーやノバルティスから2年で4億円の献金をもらい、

人の命を縮めてでも安い薬が作れないように特許保護期間を20年に延ばせと騒いだ。

これがTPPの構造」

と両断した。


孫崎氏は、1858年に締結した日米修好通商条約を引き合いに

「治外法権を認め、関税自主権を放棄するという、最大の欠陥を持つ不平等条約。回復するのに40年かかった。

しかし、今日のTPPほどひどいものはない。国の主権を放棄するから」

と問題提起した。

「日本に投資する外国企業が日本の法律、裁判所、行政によって被害を受けた場合、

国際仲裁裁判所に訴え出る。

これは憲法41条に定める『国会は、国権の最高機関』であることや、

同76条に定める司法権裁判権を否定するもの。TPPは日本という国を売ってしまう制度」

と断じた。

安田氏はTPPの本質を

「労働者保護や医療、食の安全などの規制をなくし、グローバル企業に差し出すもの」

と定義。

「国内中小企業に対する制度融資は差別的だと認められなくなる。

外資による水源や農地の取得を制限するのが不可能になる。

食品の安全規制ができなくなる。

食品添加物をがんがん増やすことを約束し、

残留農薬基準が日本の基準の数十倍あるいは数百倍というポストハーベストの米国基準を受け入れ、

農薬まみれの農産物を輸入することになる」

「牛肉や豚肉の関税が大幅に下がるが、牛肉ではほとんどの国が禁止する合成ホルモン剤が、

豚肉では赤身増量剤が米国や豪州で使われている。

米国内での乳がん多発は、食肉や乳製品に残留するホルモン剤が疑われている。

遺伝子組み換えの審査過程には、開発企業の参加を認める約束している」

と指摘した。


民意で米国から独立を[辺野古基地]

沖縄県・辺野古への米軍基地移設問題については、平野貞夫元参院議員と川内博史元衆院議員が講話した。

平野氏は、自身が小沢氏とともに米軍基地問題について2度関わったことを明かした。

1度目は1990~94年。

高知西南地域の国有地にPKO訓練センターを誘致し、

そこに沖縄米軍基地の一部を移設するため、高知県の費用で『基礎設計構想』をつくったが挫折。

2度目は1997年の「駐留軍用地特別措置法改正案」をめぐり、

当時の橋本首相と小沢新進党党首の会談で、

小沢氏が「沖縄基地の縮小・整理・移設のための法律をつくれ」と要求し、決裂した。

平野氏は

「法と行政が絶対ではない。議会制民主主義では民意の支持を得てこそ正当性がある」

と述べ、99年に決まった辺野古基地への移設は

「民意に沿う形に戻すべき」

との見解を示した。

「最低でも県外」

と主張した鳩山民主党政権は10年に退陣したが、

翁長(おなが)知事を支える「県民ネット」所属の沖縄県議会議員は

「鳩山総理のあの見識と判断のおかげで、県民は目を覚ました」

と評価していること紹介した。

川内氏は10年4月19日、

外務・防衛の両官僚が当時の鳩山首相に県外移設を断念させる説明を行ったときの極秘資料を紹介。

「安保課長、防衛課長の名前が記され、

さらに米軍のヘリコプター基地と同訓練場の間は米軍マニュアルによれば65カイリ(約120キロ)

でなければならないと書いてある。

しかし、鳩山さんと両省に確認を求めると、

『今はこの文章は存在していない』

と説明される。

とんでもないこと」

と指弾した。

「この文書は絶対に県外に出さないとの根拠に使われ、鳩山さんは移設断念に追い込まれた。

一国の総理をペテンに掛ける文書。

この問題をこのままで終わらせる気はない。

皆さんと本当の意味での米国からの独立を果たしていく」

と述べた。


ショッカーの手口で国を改造[緊急事態条項]

緊急事態条項について、ジャーナリストでIWJ代表の岩上安身氏が講話した。

「メディアが取り上げないから怖さが伝わっていない。

分かりやすい言い方をすれば、ナチスの手口あるいはショッカーの手口。

人体改造を国家に対して行うもの」

と形容。

問題点として

①国民全てが公権力に従わなければならない

②現行の憲法秩序を全部一時停止すること

を挙げ、

「憲法を1条1条改正するのでなく、全体を眠らせる。

麻酔注射をお試しでどうかと問われているようなもの。

政令を出して国会を通さずにつくることができ、国民は逆らうことができない」と説明。

その上で、「絶対に通してはならない」と主張した。


中低所得者の生活破壊[格差&消費税]

格差と消費税の問題については総決起集会実行委員長を務めた経済学者の植草氏が、

「アベノミクスは本当に一部の大企業だけが潤い、一般庶民の生活は水面下に沈んでいる。

その最たる例が消費税。

中低所得者層の生活が根本から破壊されていく。

消費税増税の延期は当然だし、現実には税率を5%に下げることが必要」

と説明した。詳論は時間の制約でカットされた。

最後に、参加者は姫井由美子元参院議員の掛け声に合わせ、

「今日の集会のこの思いを来る参院選にぶつけ、主権者が日本を取り戻すために団結して頑張ろう」

と声を張り上げた。

Reply · Report Post