★翁長知事を甘やかすなと書いた産経「正論」ー(天木直人氏)

きょう3月18日の産経新聞「正論」がついに書いた。

 「翁長知事を甘やかしてはいないか」と。

 私はいつか必ずこのような翁長批判が出ると思っていた。

 しかし、それは選挙後だと思っていた。

 産経は我慢しきれずに安倍政権のいら立ちを先走ってしまったのだ。

 この論説を書いたのは西原正(にしはらまさし)という国際政治学者である。

 西原氏は、いまでは産経「正論」の筆頭格のような右翼言論人であるが、

私が外務省の現役時代にはアセアン地域フォーラムの民間代表として参加するほどの

安全保障問題の有数の専門家のひとりである。

 その後も小泉純一郎総理の私的懇談会のメンバーに名を連ねたり、

防衛大学校校長などを歴任し、現在は平和安全保障研究所理事長を務めている。

 右翼言論人というだけで一蹴できる言論人ではない。

 その西原氏が「翁長知事を甘やかしていないか」と次のように書いたのだ。

 つまり翁長知事は保守を自認し、日米同盟は重要だと公言している。

 ならば、米軍基地の県外移設を煽るのではなく、

厳しさを増す沖縄の安全保障政策を県民に訴える責務があるはずだ。

 中国の習近平主席が米国と太平洋を二分し、

西太平洋から米軍を追い出そうとしているとき、沖縄に米軍基地のない日米同盟とは何なのか。

 それが説明できるのかと。

 そう書いた後で、国家の安全保障政策の責任を持つ安倍政権(安倍首相、菅官房長官、防衛大臣)が、

まるで翁長知事を同格のように交渉相手として扱うことで、翁長知事を甘やかし、増長させている、というのだ。

 これ以上ない痛烈な翁長批判だ。

 そしてこれはまさしく安倍政権の本音だ。

 あの和解案で決着がついたのなら文句はなかった。

 あの和解案は辺野古移設容認の和解案であるからだ。

 しかし、翁長知事は、和解案に応じた事への批判におされる形で、辺野古移設反対を再び明言し始めた。

 もはや安倍政権の我慢もここまでだ、というわけだ。

 そもそもあの和解案の背景には、

選挙前まではこれ以上沖縄との摩擦を避けたいという安倍政権側の思惑があったと伝えられた。

 それが事実なら、間違いなく安倍政権は選挙後に辺野古移設の本格工事を強行する。

 それを産経新聞の「正論」が先走って教えてくれたのだ。

 翁長知事は覚悟を決めなければいけない。

 本格工事が始まれば、もはや止める事は難しくなる。

 しかし、流血の自体だけは避けるべきだ。

 西原氏の甘やかし批判に対し、堂々と政策論で反論し、辺野古移設を阻止しなければいけない。

 選挙前の凪のうちに、翁長知事は最後の決戦に備えた理論武装をしなければいけない。

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