★沖縄戦の賠償を認めなかった那覇地裁判決について考えるー(天木直人氏)

きのうのメルマガで私は大急ぎで大胆に予想を下した。

 那覇地裁は沖縄戦争の被害者に対する国家補償の支払いを命じる判決を下すだろうと。

 これで辺野古移設の強行ができるなら国家賠償などお安い御用だ。

 そういう安倍政権の意向を汲んだ判決を下すと考えたのだ。

 その予想は見事に外れた。

 那覇地裁は原告側の要求を棄却した。

 その根拠は、

「戦時中の明治憲法下では国に賠償責任を認める法律は存在せず、賠償を求める事は出来ない」

というものだという。

 確かに法理論的にはそうかもしれない。

 そしてこうも言っている。

 「被害者は多数に上り、財政事情という制約がある」と。

 確かに戦争被害者は沖縄だけではない。

 沖縄の被害者に補償を認めると全国の戦争被害者に補償を認めざるを得なくなる。

 しかし、その判決は最後にこうも述べている。

 「誰に如何なる内容の補償を行うべきかは、政策的な判断であり、立法府に委ねられるべき事柄だ」と。

 そうであれば与党の安倍政権の判断で補償はできる。

 まさか、この判決が、安倍首相のサプライズ決断の布石ではないかとさえ思えてくる。

 沖縄戦が、沖縄を本土の捨て石にした比類なき差別的で残酷な戦争だったことは、

もはや国民周知の事実だ。

 その沖縄を、いままた米軍基地の新設によって、本土の身代わりにさせようとしている。

 公害訴訟や薬害訴訟など、

これまで考えられなかった国家賠償が人権重視の名の下にどんどんと認められつつある。

 安倍首相が沖縄戦の犠牲者に特別の配慮をしても不思議はない。

 その逆に、沖縄戦の賠償も一蹴し、辺野古移設も強行するようでは、

あまりにも沖縄に差別的だという批判は高まる。

 果たしてこの那覇地裁判決はこのまま終わるのだろうか。

 不思議なことは、この判決の報道が小さい事だ。

 朝日、毎日、東京が、政治面ではなく社会面に小さく報じているだけだ。

 言い出しっぺのNHKはその結果を報じようとしない。

 沖縄戦の犠牲者に対する国家賠償問題はこれで終わるとは思えない。

 これで終わらせてはいけない。

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