★週刊誌に完敗した天下の読売が、それでもつぶれない理由ー(天木直人氏)

野球賭博によって読売グループはつぶれることになる。

 そう私が書いた事は、あながち誇張ではなかった。

 天下の読売新聞は週刊文春によってつぶされる崖っぷちにあるのだ。

 もし大手メディアがあの朝日の慰安婦問題誤報事件の時のように、

大騒ぎで報じていけばの話であるが。

 そのことをきょう3月13日の「週刊誌を読む」で、月刊「創」編集長の篠田博之氏が教えている。

 今度の読売巨人の野球賭博をめぐる迷走は、

週刊文春のスクープ告発に追いつめられた末の迷走だったのだ。

 読売巨人は3月8日午後7時40分、

急きょ記者会見を開いて高木京介投手の野球賭博を認め、トップ三人の辞任で危機を乗り切ろうとした。

 それは週刊文春に告発記事を書かれた為の苦肉の策であったのだが、それで終わらなかった。

 8日の記者会見に、読売巨人は週刊文春の記者を締め出した。

 それに抗議した週刊文春が、次週号(すなわち発売中の最新号3月17日号)で、

「野球賭博はこれで終わらない」。

「取材の過程では大物選手から二軍の選手まで様々な名前が浮上している。

裏カジノに通っていた選手になるとその数はさらに多い」などと警告しようとした。

 これを知った読売巨人は、あわてて9日夕に急きょ高木京介投手に記者会見を開かせ、

それを受ける形で高木京介投手を告発し、すかさず熊崎コミッショナーに徹底的に膿を出しきると言わせた。

 あの高木京介投手の記者会見は、単なるみせしめだけではなかったのだ。

 つまり週刊文春が3月10日に「これで終わらない」という特集記事を出す直前に、

読売巨人は先手を打って高木京介投手に記者会見を開かせ、

それを受けてさらなる調査を約束したというわけだ。

 ご丁寧にも、篠田氏の「週刊誌を読む」のライバルコラムである花田紀凱氏の週刊誌ウォッチングは、

3月12日の産経新聞紙上で、週刊文春の特集記事はタイミングを失った間抜けな記事となった、
(週に一回しか発行できない)週刊誌の宿命だ、などと読売巨人に追従する記事をわざわざ書いている。 

 しかし決してそうではない。

 きのうの日刊ゲンダイが(3月14日号)大きく書いた。

 調査杜撰で第四の男(高木京介のこと)出した責任を読売巨人はどうとるのか、

第五の男が出て来たら巨人はぶっ飛ぶ!と書いた。

 天下った熊崎コミッショナーは、いままで東京地検特捜部長として何をやって来たんだ、

これじゃ何の役にも立たない、という作家吉川潮氏のコメントまで掲載している。

 これが世論の常識だ。

 読売グループは週刊文春の記事で追い詰められているのだ。

 しかし、熊崎コミッショナーは、早々と「調査には時間がかかる」と逃げを打った。

 そして大手メディアは、朝日新聞の慰安婦誤報事件の時と違って、この問題をこれ以上追及しないだろう。

 かくて、つぶれるはずの読売グループは逃げ切る。

 熊崎コミッショナーも、その背後にあるこの国の権力癒着も、見逃されていく事になる。

 巨悪はのさばり、この国がどんどん悪くなっていくはずである。

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