★「除染範囲の拡大」と言う名の予算のばらまきー(天木直人氏)

 きょう3月9日の読売新聞が一面トップで書いた。

 政府は放射能で汚染された福島県内の森林にまで除染範囲を拡大する方針を固めたと。

 ただでさえ除染の効果が疑問視されているというのに、

なぜいまごろになって新たに除染範囲を拡大するのか。

 百歩譲って、もし森林の除染が必要なら、

原発事故が起きて除染の必要性が指摘されていた時に行うべきではなかったのか。

 読売新聞の記事によれば森林を、

住民が立ち入る可能性がある「里山」と、それ以外の「奥山」に分類し、

里山内では、急斜面など土砂の流出が起きやすい場所を除き、

日常的に人が立ち入る林道やキャンプ場、きのこ栽培場、炭焼き場、散策路、休憩所、

駐車場などの除染を行うという。

 もっともらしい書き方だ。

 しかし、その一方で読売新聞はこうも書いている。

 環境省の有識者会議は昨年12月、住宅などの生活圏から約20メートル以上離れた森林は

土壌流出があるとして原則、除染はしない方針を決定し地元自治体や林業関係者の反発を招いた、

だから方針を変えたのだと。

 住民ではない。

 地元自治体や林業関係者の反発から方針を変えたのだ。

 要するに、住民の安全性を考えて方針を変えたのではなく、予算目当ての要求に応じたということだ。

 それを裏付けるように、その読売新聞の記事は、こう解説している。

 国の財源は限られてすべての要望に応えることは出来ない。

公正な森林除染のルールを構築していく事が不可欠であると。

 そのような公正なルールなどつくれるはずがない。

 限られた予算を選挙対策としてばら撒くには、戦略的に行わなければならないからである。

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