★私を避けた安慶田沖縄県副知事ー(天木直人氏)

 私は公開情報を読み解いて解説しているが、

読者よりはほんの少しだけ、人と接触して物事を読み解くことができる。

 私の辺野古移設に関して書くこともそのひとつだ。

 読者の要望に応えて書くことにする。

 あれは夏の暑い頃のことだった。

 オール沖縄の県会議員の一人に頼まれて、

翁長知事へ助言するため沖縄に来てくれというので、すべて自己負担で沖縄をとんぼ返りしたことがあった。

 私から押しかけたのではない。

 わざわざ頼まれたから日程をやりくりして行ったのだ。

 その時は、翁長知事はもとより辺野古移設を一手に引き受けているという安慶田副知事にも会えず、

連合幹部やオール沖縄の県会議員らと話し合い、

また翁長知事を支援しているという沖縄財界人と会って帰って来た。

 しかし、いずれも要領を得ないものだった。

 彼らは物事を動かしてるひとたちではなく、何のために沖縄に足を運んだのか、という徒労感だけが残った。

 唯一の収穫は元「噂の真相」の発行人であった旧知の岡留氏と会って二人で飲み交わしたことだ。

 彼は沖縄に移り住んで自由人を楽しでいる。

 沖縄の事について教えてもらったが、その彼も、いまやかつてのような情報通ではなさそうだった。

 沖縄から帰ってきて二日ほどたったある日、私の携帯電話に安慶田副知事から電話がかかってきた。

 お互いに何の面識もない間柄だ。

 その言葉は丁重であったけれどとげがあった。

 この間は色々助言をいただきありがとうございました。

沖縄の事は我々でやりますから安心してください。これからもよろしくお願いします。

 と、そのような趣旨の短い電話だった。

 私はそれを明確なメッセージと受け止めた。

 余計な助言は不要だと言っているのだ。

 私は、あらゆる誤解が起きないように、一度でいいから翁長知事と直接面談をしたいと思ってきた。

 しかし、あらゆるつてを通じて試みたが今日までその機会を得られないままだ。

 人伝えに聞くところによれば、翁長知事は辺野古問題はすべて安慶田副知事に一任し、

その信頼は厚いという。

 だから翁長知事に辺野古問題で会いたければ、まず安慶田副知事に会う必要があるという。

 私は沖縄県庁の知事室や辺野古問題担当室を通じて安慶田副知事に面会を要請をしてきたが

なんの返答もないままだ。

 もちろん翁長知事との面会のめどは皆無だ。

 そのうち、私と頻繁に連絡してきたオール沖縄の県議たちとの連絡も途絶えるようになった。

 沖縄で何が起きているかわからなくなった。

 しかし、辺野古移設問題は、一人沖縄の問題にとどまらず、

日米同盟の将来にかかわるこの国の最大の政治・外交問題である。

 そして日米同盟の相手は米国政府である。

 そのことがどれほど大きな意味を持つか。

 辺野古に米軍の新基地を作らせないということが、どれほど至難な事か。

 それを私は誰よりも知っているつもりだ。

 逆に、もしこのまま安倍政権と米国の思うがままに辺野古に新基地が建設されるようになると、

もはや何を言っても、何をやっても、日本は米国の軍事的従属から抜け出せなくなるということだ。

 辺野古移設問題は、決して沖縄だけの問題ではない。

 それを一番よく知っているのが安倍政権と外務省だ。

 辺野古問題を安倍政府と沖縄の問題にとどめ、

日米両政府と沖縄の非対称の協議に閉じ込めようとしている。

 沖縄が勝てるはずがない。

 そのことを、大声で叫ぶ者がいまの政治の中で出てこないといけない。

 しかし、その可能性は限りなく小さい。

 そしてメディアはすべて安倍政権の側についている。

 さっそく報道され始めた。

 政府は5日、沖縄県との和解を踏まえ、

菅官房長官と県幹部が協議する調整に入ったと(3月6日毎日)

 ここでいう県幹部とは安慶田副知事の事だ。

 また、こうも報道されている。

 中谷防衛相は5日、記者団に答えたという。

 「今度の対応については、日米間でよく協議したい」(3月6日日経)と。

 国民の知らないところで、米国の意向を振りかざした安倍政権が、

安慶田副知事を通じて、沖縄と和解後の話し合いを始める。

 目も眩むようだと私が書いたのは、こういう事である。

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