★いかにも面妖な共産党の一人区取り下げと野党共闘ー(天木直人氏)

共産党が一人区の立候補を取りやめると発表し、

これが、「やっとここまできたか」などと言って、野党共闘の前進のように報じられている。

 しかし、それらの記事をよく読むと高揚感はない。

 清水の舞台から飛び降りて国民連合政権構想を提唱した共産党を私は高く評価したものだが、

民主党の反対にあって断念し、今度は一人区でも民主党に譲歩したごとくだ。

 しかし、いまから考えれば、

そもそも国民連合政権など本気で出来ると思って提唱したのかは疑わしいし、

すべての一人区で候補者を出さないといっても、

そもそも一人区で共産党が勝てるところがあるのか。あるとして、それをも譲るのか。

 京都の様な複数区では、もちろん共産党は立てる。

 そして比例区では統一候補など関係ない。

 こう考えると、共産党が譲歩したという訳ではない事が分かる。

 払えない供託金の負担が減るだけ都合がいいのではないか。

 その一方で、岡田民主党代表は、共産党が降りてくれれば民主党候補は助かると公言している。

 つまり民主党はあくまでも共産党の譲歩があればいいと言ってるにすぎず、

共産党との協力など考えていないごとくだ。

 しかし、民主党はそんな偉そうなことを言える状況にはないはずだ。

 いまの民主党は議席数を増やす要因はどこにもない。

 私が一番違和感を持つのは、民主党と共産党では政策が違い過ぎるところだ。

 安保法廃止で一致したといっても、

修正案を出す民主・維新と、安保法反対の共産党ではまったく立場が違う。

 そして共産党は安保法案ばかりを重視するが、そのほかのほとんどすべての政策で民主党とは異なる。

 おまけに民主党と維新の党の連携の動きは不透明なままだ。

 その他の政党に至っては、生き残りで精一杯だ。

 そんな野党が共闘したからといって、国民の心をつかめるのか。

 安倍自公政権に勝てるのか。 

 たとえ少しぐらい議席数を増やしても、安倍自公政権の暴政を止められるのか。

 むしろ安倍自公政権は、少し議席数を減らして、謙虚になった振りをして、

長期政権を目指しやすくなったと考えるのではないか。

 三分の二の議席数を取れなければ安倍自民党の敗北だ、と喜べるのだろうか。

 もはや解釈で何でもできる安倍首相だ。

 改憲を急ぐ理由はどこにもないと豹変してもおかしくはない。

 このように考えて行けば野党共闘は、たとえそれが前進しても、興奮するような状況にはないことがわかる。

 前進しなければその傷は大きすぎる。

 どこまで行っても面妖な野党共闘である。

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