★米国と北朝鮮が平和協定締結秘密交渉をしていた衝撃ー(天木直人氏)

なんといっても今日のニュースの中ではこれが一番だろう。

 米国と北朝鮮が平和協定締結に向けて秘密協議をしていたことがわかったという。

 その事自体が衝撃的だが、報道で明らかにされた様々な事が、さらに衝撃的だ。

 第一は、この第一報を真っ先に報じたのは

21日の米紙ウォールストリート・ジャーナルであり、それを米政府があっさり認めた事だ。

もはや動かしがたい事実であるということだ。

 これほどの大きなニュースであるというのに、日本のメディアは大騒ぎしない。

 それは米紙にスクープを出し抜かれたばかりではない。日本の出る幕はないからだ。

 二つ目に、中国はこの秘密協議を知っていた節があるということだ。

 王毅外相はすでに17日の時点で、

朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に切り替えるべきだと提案している。

 三つ目に、韓国の猛烈な反発だ。

 韓国の統一省報道官は22日の記者会見で、

「平和協定は米朝間の問題ではない。韓国が主体にならなければいけない」と強調し、

「平和協定よりも北朝鮮の非核化が優先されなければいけない」と反発している(2月23日産経)。

 おそらく米中に知らされていなかったのだろう。

 しかし怒りの理由はそれだけではない。

 怒りが半端でないのは、南北統一と言う歴史的大事業さえも

米中抜きには成し遂げられないという自らの無力に対する自責の念があるに違いない。

 主体はもちろん韓国であるべきなのに、

北朝鮮に核兵器で先を越されたジレンマを克服できないもどかしさが見て取れる。

 蚊帳の外に置かれているのは日本だ。

 菅官房長官は22日の記者会見で北朝鮮の非核化は重要であるといい、

その実現については「引き続き米国、韓国など関係国と緊密に連携し、

北朝鮮に対し自制と国連決議の誠実勝かつ完全な実施を求めて行く」と、

当たり前の事しか言えないでいる。

 このスクープから分かった最後の、そして最も重要な事は、

北朝鮮問題の帰趨は、それがどのような展開になろうとも、米中協議で決まるということだ。

 その中国は、王毅外相を米国に派遣して、

ケリー国務長官らと北朝鮮問題について協議させると22日、ついに公式に発表した。

 もちろん北朝鮮問題だけではない。南沙もシリアもロシアも含まれる。

 これが国際政治のダイナミズムである。

 安倍外交は中国外交の足もとにも及ばない。

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