★空爆でセルビア大使館員を殺害した米国とそれを許す国際社会-(天木直人氏)

米国がイスラム国の拠点を攻撃するためリビアを爆撃した。

 それについて私は書いた。

 そのうち米国は世界中を空爆することになるだろうと。

 なぜならイスラム国は空爆では壊滅できない。

 生き残ったイスラム国は、世界中の破綻国家に逃げ込み、そこに拠点をつくろうとするからだ、と。

 しかし、ここで書くことはそのことではない。

 リビア空爆でセルビア共和国の大使館員二人が死亡したという(ウィーン発共同)。

 イスラム国の人質になっていたからだという。

 私が注目したのは、この事実をセルビアのブチッチ首相が20日に発表したから明らかになったことだ。

 そうでなければニュースにもならなかった。

 セルビア政府には空爆の通告はなく、セルビアのダチッチ外相は米国とリビアに説明を求めると語ったという。

 しかし、リビア政府と言っても、いまやリビアは破綻国家だ。

 米国政府と言っても、いまや米国はイスラム国への空爆をすべてに優先する国となってしまった。

 このセルビア申し入れは無視されるだろう。

 もし人質が欧州やアジアの主要国の大使館員だったらどうか。

 それでも米国は空爆しただろう。

 さすがに事前通告をしたかもしれないが、空爆を強行しただろう。

 そしてどの政府も米国の空爆を止められなかったに違いない。

 イスラム国との戦いをすべてに優先し、その拠点がどこであっても空爆する米国と、それを許す国際政治。

 そして、米国のイスラム国との戦いは終わりのない戦いである。

 どうやら国際社会は未体験の世界に入り込もうとしている。

 いまこそ日本は憲法9条を掲げて、戦争国家である米国から自立すべきである。

 そして、世界を、狂った方向から、正しい方向に導く先頭に立つべき時である。

 この事を真剣に主張する政党、政治家がただの一人もいない政治を私は憂う。

 いまこそ新党憲法9条の出番である。

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