★米国の核兵器配備に麻痺させられてはいけないー(天木直人氏)

きょう2月21日の読売新聞と東京新聞が、

米国統治下の沖縄に核兵器が配備されていた写真の公表を報じていた。

 しかし、その書きぶりは微妙に違う。

 すなわち、東京新聞は共同通信が

ワシントンの民間研究機関「国家安全保障公文書館」から提供を受けたとしているが、

読売新聞は、米ジョージ・ワシントン大学の国家安全保障公文書館がホームページで公開したと書いている。

 おそらく読売新聞が正しい。

 それが政治的意図にもとづくものか、

あるいは単なる情報公開のひとつにすぎないのか、わからないが、とにかく公開されたのである。

 私が注目したのは、読売新聞が次のように書いているところだ。

 「・・・米統治下の沖縄への核配備は既に明らかになっているが、

当時の写真が表に出るのは極めて珍しい・・・」

 そうだろうか。

 たしかにこの間のNHKスペシャルでは沖縄への核配備が明らかにされた。

 しかし、私の記憶では、ここまで断定的に報じたのはこのNHKスペシャルがはじめてだ。

 だからこそ私は衝撃を受けた。

 決して沖縄への核配備は日本国民の中では、「既に明らかになっている」わけではないのだ。

 そしてなによりも日本政府は今でも公式にそれを認めていない。

 核兵器の存在については、「あるともないとも言わない」、という米国の大方針を、そのまま繰り返すだけだ。

 われわれはこの報道から次の疑念を抱かなければいけない。

 沖縄が本土復帰した1972年以降、沖縄には核兵器が配備されていないのか。

 常時配備されていなくても、持ち込まれていないのか。

 いや、沖縄だけではない。

 全国に米軍基地が存在する日本で核兵器が存在しないのか。

 原子力潜水艦や戦闘機に搭載されるかたちで自由に出入りしていないのか。

 野党は国会でそれらを追及しなければいけない。

 今度の沖縄への核配備写真の公開記事が、単なる記事として忘れ去られてしまうなら、

我々は核兵器の恐怖と非人道性について麻痺させられているということだ。

 国家安全保障公文書館の公表がそれを狙っているとすれば、

われわれはその手に乗ってはいけないということである。

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