★メディアが書かない深刻な日中関係-(天木直人氏)

ひとり朝日新聞が小さく書いたのは2月10日だった。

 すなわち岸田外相と中国の王毅外相が約一か月間も「音信不通」状態にあると。

 北朝鮮に対する制裁について中国と話し合いたいのに、電話すら通じず、岸田外相はいらいらしていると。

 いらいらしている場合ではない。

 岸田外相は危機感を持たなくてはいけない。

 外相が連絡をとろうとしてもとれない状態が一か月も続いていることは

日中関係がよほど悪化しているということだ。

 ところが、この深刻な事態を報じる記事は、その後まったく見られなかった。

 そしてきょう2月21日の栃木県の地方紙「下野新聞」がついに書いた。

 岸田外相は、みずから意欲を示していた「春ごろの中国訪問」を見送る意向を固めたと。

 中国が受け入れに難色を示しているからだという。

 いよいよ日中関係は最悪の局面に至った。

 中国がここまで不快感を示すのは当然だ。

 北朝鮮に対する制裁強化を中国に迫ることなら無視できる。

 しかし、中国を牽制するために米国に軍事的行動を要請するような日本は、もはや中国にとっては敵である。

 習近平主席の中国が安倍首相の日本を相手にしないのは当然だ。

 その一方で、米国と中国は緊張緩和のための外相会談を行おうとしている。

 対米従属の日本はいつも米国にはしごを外されっぱなしだ。

 もはや日本の存在感は完全になくなった。

 安倍首相に命じられるままに動く外務官僚と、

その外務官僚の操り人形のような岸田外相がすっかり日本外交を行き詰まらせた。

 こんな人物がポスト安倍のひとりというのだから日本の将来に期待せよというほうが無理だ。

 それにしても、日中関係の深刻さを国民に教えようとしないメディアは酷いものだ。

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