★安倍首相に憲法改正など出来はしないー(天木直人氏)

石原慎太郎が一人称で田中角栄みずからを語ったという「天才」(幻冬舎)と言う本を一読した。

 それなりに面白かったが底の浅い田中像だ。

 その書評は機会をあらてめて書きたいが、

石原慎太郎の口調が頭に残って離れないので、その口調を真似て書く。

 安倍首相に憲法改正など出来はしない、と。

 8か月ぶりに再開されたという自民党の憲法改正推進本部が、開いたばかりだというのに、

作業を中断し、今国会中は憲法制定過程や憲法教育の在り方などについての検証を

進める方針を確認するにとどまったという。

 なんとモタモタしていることか。

 これを、野党の批判をかわすために今国会で憲法論議を避けるという深謀遠慮と考えるのはお門違いだ。

 自民党議員の頭では、いつまでたっても改憲作業を進められないのだ。

 具体的な最終条文をどうするかという問題もさることながら、

どこを改憲するかの項目絞り込みさえ出来ないという。

 そうなのだ。

 いざ憲法を自分たちの手で書き直すということは、それほど大変な事なのである。

 歴代の自民党議員のあらゆる知恵者が集まって議論し、自民党案なるものは数多く出された。

 しかし出されては棚上げされ、どれ一つとして、最終的にそれで行こうとならなかった。

 最後は首相の決断で決まるのに、そんな決断を下せる首相はいなかった。

 ましてや法的素養のかけらもない安倍首相が決断を下せるはずがない。

 そして、たとえ安倍試案なるものが出来たとしても、

それが野党や国民の批判や反対に堪え得るものになることはあり得ない。

 そうなのだ。

 改憲する、改憲せよ、と叫ぶのは簡単だ。

 しかし改憲をやり遂げるということは現実問題として不可能なのだ。

 そして安倍首相にそれが出来なければ、見通せる将来において改憲がなされることはない。

 だれれもそんな面倒な事を最優先に行おうとしないからだ。

 政局として野党が騒ぎ、政治記事としてメディアが安倍首相の改憲へのこだわりを書き立てるのはいい。

 しかし、それはまさしく、政治の遊びだ。
 
 繰り返して言う。

 安倍首相に憲法改正などできはしない。

 しかし、ここからが、このメルマガの言いたいところであるが、

安倍首相ほど対米従属に走って憲法9条をどんどんと否定する政策を打ち出している首相はいない。

 護憲者たちがなすべきことは、安倍首相を首相の座から引き下ろすことだ。

 そしてこの国を米国から自立できる首相を誕生させる事だ。

 実は、この事こそが、一番難しい事である。

 与野党を問わず、既存の政党、政治家では決して出来ない事である。

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