★翁長知事は安倍・菅政権の辺野古移設を阻止できるだろうかー(天木直人氏)

発売中の週刊現代最新号(2月27日号)に注目すべき記事を見つけた。

 それは森功(もりいさお)というフリー記者が書いた「沖縄の基地問題がいよいよ動き始める」と言う記事だ。

 そのいわんとするところは、福岡高裁那覇支部が国と沖縄に提示した和解案について、

話し合いが始まるのではないか、ということだ。

 この記事を読んで、私は、そういう事だったのか、と思った。

 福岡高裁那覇支部が和解案を提示した時、

私はこの国の司法は高度の政治判断を下せなくなってしまった、辺野古移設の是非について

司法的判断を避けた、と批判的に書いた。

 ところが、本当のところは、もっと悪質で、安倍政権の策略のお先棒を担いだのだ。

 そう考えてみると、思い当たる節がある。

 辺野古和解勧告が出されたことについて書いた2月9日の毎日新聞の社説は、こう書いていた。

 「国、県双方とも簡単には受け入れられないだろうが、耳を傾ける内容も含まれている・・・」と。

 そして、その二つの和解案について毎日の社説はあれこれ論評しているのだが、その前に、こう書いている。

 「和解案は二つあるが、非公開のため不明な部分も多い。判明しているところでは・・・」

 和解案が非公開であることを認めた上で、その内容を書いている。

 しかも福岡高裁那覇支部が和解案を示した直後の報道は、

非公開だからその内容はわからないと書いていたのに、

わずか一日で、メディアは手のひらを返したように一斉にその和解案の要約を報じた。

 しかもその要約はどの報道もまったく同じだ。

 司法当局が、あるいは官邸が、意図的にリークしたのだ。

 そういえば、その内容についてコメントを求められた翁長知事は、

非公開の内容だからコメントできないと、不快感を示していたのが印象的だった。

 和解案の提示は安倍・菅政権が仕掛けた翁長知事に対する懐柔政策であったに違いない。

 和解案が提示されたタイミングが、宜野湾市長選挙の後だったことでつじつまが合う。

 宜野湾市長選挙の敗北で弱っている頃を見計らって懐柔策に乗り出したのだ。

 その一方で、森功記者は、安倍・菅政権側にも、強行に進められない理由があると、

地元政治家の言葉を引用して次のように書いている。

 今までは調査や資材調達などの準備工事だったが、これからは5000億円規模の埋め立てになると。

 これだけ大規模な埋め立てでは、岩盤や環境問題で不具合が生じるのが常であり、

工事の設計変更をよぎなくされると。

 設計変更の承認は沖縄県知事の権限であるから、

その都度代執行手続きをして訴訟に発展するのでは、国も沖縄県もかなわないというわけだ。

 ここに国と県の妥協の動きの可能性が出てくる、と森功記者は書いている。

 果たして翁長知事の沖縄は辺野古移設を阻止できるのか。

 心配なのは、その翁長知事とオール沖縄を叫ぶ左翼・市民団体との間が、

必ずしも一体ではないという情報が伝わって来たことだ。

 左翼・市民団体側は、翁長知事は周りを保守で固めて扉を閉ざしたままだといい、

翁長知事は、辺野古移設阻止は左翼や市民団体では出来ないと考えているという。

 沖縄に一体何が起きているのか。

 はっきりしている事は、安倍・菅政権側はあらゆる手段を持っているということだ。

 翁長知事側には、それに対抗する人材が見当たらないことだ。

 辺野古の本格工事だけは絶対に始めさせてはいけない。

 辺野古に基地をつくらせることは、もはや沖縄だけの問題ではない。

 日本全体の将来に関わる問題だ。

 米国の基地を日本政府が自らの意思で日本につくる。

 そうなれば、日本は米国の軍事占領から永久に抜け出せなくなる。

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