もじょがイタリア人と付き合うようになった話

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2014年の10月頭くらい。
珍しく大阪で映画を見た帰りに京都の自宅へ戻ろうと終電近い不慣れな地下鉄に乗って揺られていた。
乗客は私含めて大体4人くらい、おじさん2人と私と一番向こうの遠い所に外国人の観光客と思われる男性1人。
会話もなければ何もない車内なので、とりあえずいつものようにツイッターやってた気がする。
ところが数駅で乗り換え駅って所でこの時突然電車が止まる。というのも電車アナウンスによれば「この電車は回送になります、当駅で降りてあとの振替をご利用ください」とのこと。
おじさん2人は慣れた様子でに電車を降りたので、それにつられて私も降りる。で、降りた瞬間に車内の電気が全部消されて一気に回送電車仕様になったところで中から「ぎゃー！」という叫び声が聞こえてきた。

ビックリして覗き込むと、日本語のアナウンスだけしか無かったせいで外人が車内に取り残されて1人でパニクっている！！
さすがにこれは無視したらあかんやろ、ということでつたない英語で声をかけて助けてあげた。

「この電車回送だから20分待たなきゃいけないの」
「ありがとう、助かりました」だのだの。

外人さんの見た目は黒髪に青目で30代くらい。英語の訛りがラテン系だったので、イタリア人？って聞くと「そうです！昨日から1ヶ月日本に観光しにきました！」とのこと。(こっから先はイタ君と命名)

20分の待ち時間と次の列車に難なく乗り込んでトータル40分ほど話していると、しばらく京都にもいるらしく、明日からどこ行けばいいか...なんて言ってくるので丁度月曜も暇だった私は「なんなら連れて行ってあげようか？」と話を持ちかけてみた。

まぁこの時はイタ君の方はどうかはわからんが私の方はせいぜい日本を楽しんでもらえる手伝い出来たらいいな、丁度暇だし遊び相手出来てラッキー♪位にしか思ってなかった。(しかも彼の方から助かる！飯代は全部出す！とのことで貧乏学生には一石二鳥である)

で、地下鉄では1人だったけど実はもう1人の友達と日本に来ていたらしく、彼もまとめて一緒に観光だぜ！となってイタリア人2人と私という謎の珍道中で京都、奈良、大阪と割と1週間の内に遊びまくったのであった。

もう1人の友達もナイスガイで優しい人。別に1週間遊んだけど彼らや私の間に日本人女子は軽いから狙われるとかよく聞くやましい行為も行動も一切なく、非常に良好で紳士的な付き合い。

何回か一緒に遊んで、一週間後かな。次は東京に観光しに行く！というので駅でお見送り。これで最後やな〜と少ししょんもりなわい。

ここで少し自分の話をすると私はクソデブで今まで彼氏っぽい人もいたこともあったけど本当に本当に奥手で話をするのは好きだけど、いつも出来るのは結局男友達ばかり。というサバサバタイプのクソモジョの典型。

こんなにイケメンで楽しいイタリア人が私のことを好きになってくれるはずなんかないとハナっから諦めていた。(いや、内心ではもうこんだけ仲良く出来ているだけで十分すぎるありがとうございますと拝んでいたけど)

それに輪をかけて日本人がイメージするイタリア人のテンプレが脳内を占めていた。
「きっと彼にはイタリアに彼女がいるし、私と遊ぶのもただの旅の憂さ晴らしでイタリア人にとっちゃ夏のアバンチュールみたいなもんだろ、たまたま英語が少し出来ただけできっと東京でも英語話せるもっと可愛い子とかがいたらこういう風に遊ぶんだな〜」って。

だから、話は元に戻すけど何回か一緒に遊んで東京行くね〜バイバイ〜って時に今まで手も触られたことなかったのに、突然駅のホームでイタ君からキスされた時は本当に本当に本当に参った。
頭真っ白になって「？！！！！」ってなるやん。

「僕一週間後に帰ってくるつもりだからそんときは絶対もう一回会ってくれる？」

って聞いてきてもう頷くしか出来ない私。

で、それから一週間めちゃくちゃ悶々とするわけです、私は。

イタリア人にとっちゃ口へのキスも多分親密な挨拶程度でリップサービスみたいなもんに違いない、東京で英語話せる可愛い女の子がいれば戻ってこないに決まってる、私なんかともう一回遊ぶはずがない軽い嘘なんだろうetcetc

で、一週間後。大阪観光をするよー！と来たので会うことに。(ちなみに全部イタ君と友達とはハッピーセットなので遊ぶのはいつも3人でした)

最初に「東京どうだった？」などと会話をするもどうも私の方がキス事件が気になって気になってぎこちなくなる。そのまま市内を案内するために移動する時も話は少なめ。

イタ君の方はというと、私の隣にずーっとぴったり来たり、たまに肩を支えてくれたりするなど今思えば彼なりに控えめに「君のことが好き〜」というオーラを出してくれていた。

でも本当に本当に私はどうしても信じられない。(だってこういうのツイッターで見たことある！コレ食われるかも知れん！！あかんやつじゃね？！そもそもイケメンがこんなデブスを好きになるわけが！！！)っていう疑心暗鬼っぷり。

だから、観光している間にそっと腕組まれた時にびっくりしてものすごい勢いで嫌悪感丸出しで振りほどいてしまった。

これが決定打になったんだろうけど、その後は私に触ろうとせず最後のお別れのハグ(これはイタ君と友達二人ともに恒例)も腕回すことなく終わる。

この時は私は相手の腕を振りほどいたっていう過失に気づいてなかったから「あー、何もないしハグも返してくれないってこれで楽しかった国際交流も終わったな」
などと思い、帰宅。

案の定大阪にイタ君は滞在しているっていうのにその後の数日は一切連絡なし。

4日後に勇気を出して「まだ大阪にいる？最後に遊びたいなー」って送ったら
「もう後は東京に滞在する予定なんだ、ごめん。新幹線乗っちゃったよ」と返信。

何故だろう、今まで何ともなかったのにこの時に私は死ぬほど後悔した。
泣きまくってボロボロ泣いて今までの行動を思い出す。

『あの時手を振り払ったのがいけなかったんだ！！』と気づいたのがこの時。遅すぎだろ馬鹿野郎。


生まれて初めて悔しくて泣きに泣いた。なんて馬鹿なことを！一か八か砕けてもいいのになんでアプローチかけられなかったんだ！寧ろ向こうはアプローチかけてなかったか？！キスから一連の私に対する接し方ってもしかしてコレが恋愛ってヤツなんじゃ？！などと散々。

そして恋愛経験のないクソ喪女子がイタ君のことが好きだと初めて自覚したのであった。
ここに到達するのに会うこと5回ほど。クソもじょだ、今考えるとこんだけ鈍いにも関わらず忍耐強く私に接したイタ君紳士過ぎる。


で、勇気を出して彼が既に帰国に向けて東京に居て無理なの分かっているのに「もう一回会いたかった」と一言だけメッセージを送った。

どうせ五日後に奴はイタリアに帰るんだから砕けても一緒だろ、と思い本当に勇気を出して。

しばらくしてリプライ来た時本当に泣いた、嬉しくてまたボロボロ泣いた。

本当はイタ君はこの時は東京に滞在してこっちに帰ってくる予定なんて全然なかった。
でも、他の予定を全部キャンセルして一緒に日本にきていた友達を東京に置き去りに(笑)して、わざわざ新幹線を取って私のために来てくれることに！！

大阪の駅で待ち合わせして、この時ばかりは「前回は手を振りほどいてごめんなさい」
と素直に謝ったら
「君がこういうの初めてって知らなかったから僕もごめん...徐々にお互いに距離を詰めましょ」
とえらく優しく対応されて、恥ずかしいやら私なんかのためにわざわざ新幹線使ってまで戻ってくるとか申し訳ないやらで、待ち合わせしたカフェでさめざめと泣いて、初めての2人のデートらしいデートは私の化粧直しから始まるという最悪の形でした。

3日ほど遊び、最終日に京都からまた東京の飛行機に乗るためにイタ君が帰ることになったので、新幹線ホームまでお見送り。(この時ホームまでの入場券を私に買って最後まで！と言ってくれるトレンディドラマ仕様で最早笑うしかない)

新幹線の前にイタさんから改めて
「僕は4年ほど彼女居なくて、一生このまま独身かな...って思っていたんだけど、この日本に来て僕が会ったことのないタイプの女の子に地下鉄で出会えて...君と過ごす1週間が本当に楽しくてこれはチャンスだと思ったんです。このチャンスに君が応えてくれるなら、僕とお付き合いしてくれますか？イタリアに帰るけどこれからもお願いします」
としっかりと言ってもらえました。

頭の中で完全にエンダァァア〜〜なんだこれ〜〜〜わいの身に何が起こってるゥゥ〜〜〜

この日ばかりは泣かずにきちんとお見送りできました。


結局彼の滞在中一カ月かけていっぱいいっぱい泣いて初めての事に悩んでイタ君と付き合うことになって、1年以上。帰国後、1ヶ月した時にイタリアに帰ったイタ君から突然Eメールでイタリア行きの航空チケットが送られてきて単身イタリアに行くなんて色んな経験があったんですけどこれって何のドラマ.......??????????????????

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