★「下り坂」から「まさか」に差し掛かる安倍政権-(植草一秀氏)

安部政権の下り坂が止まらない。

2012年12月の政権発足以来、曲りなりにも「上り坂」が続いたが、

昨年6月から8月にかけて頂上に到達。

そこから「下り坂」が始まっている。

「下り坂」の先には「まさか」が控えている。

1942年6月のミッドウェー海戦

1942年8月のガダルカナル島の戦い

で日本軍は敗北し、第二次大戦は完全な「下り坂」に転じた。

しかし、日本のメディアは

連戦連勝

の虚偽報道を展開し続けた。

日経平均株価は

2015年6月24日に 20868円

2015年8月10日に 20808円

2015年12月1日に 20012円

をつけた。

この株価が

2016年1月21日に 16017円

2016年2月9日前引けで 16168円

に下落している。

3A1S(安倍、麻生、甘利、菅)と呼ばれる現在の第2次安倍政権トップ4の一角である甘利明氏が

金権スキャンダルで引責辞任した。

甘利氏自身が現金受領を求めており、甘利事務所がURに対して口利きを行っていた事実は確認されている。

口利きの見返りに現金を受領していれば、あっせん利得処罰法違反に該当する可能性が高い。

国会での野党の追及は生ぬるいが、事実は重い。

日銀は安倍政権が任用した5人だけで、マイナス金利導入を強行決定した。

政治任用された者が「数の力」で金融政策決定を強行するなら、

もはや日銀の独立性など存在しないも同じである。

預金者の所得を奪い去るゼロ金利政策・マイナス金利政策を正当化するロジックは存在しない。

預金者、生活者、労働者、年金生活者、消費者は、

インフレ誘導と円安誘導で

損失を蒙るだけで利益を得ることはまったくない。

「アベノミクスが成功した」

という話はメディアが宣伝しているだけで、主権者の実感でも感想でも真実でもない。

1942年以降も、日本の戦争は

「連戦連勝」

と伝えられた。

その結果、300万人もの日本国民の生命が奪われた。

間違った戦争が強行され、虚偽の情報に踊らされ、300万人もの国民が尊い命を奪われたのである。

「安倍内閣の支持率が上昇した」

という情報と、

「連戦連勝」の大本営発表と

本質的に同じものだ。

主権者は、メディアが垂れ流す「虚偽情報」の真相を掴み、

「虚偽情報」に踊らされないように気を付けなければならない。

「安倍一強」

などと言われるが、これも「虚偽情報」である。

2014年12月の総選挙で、安倍自民党に投票した主権者は、主権者全体の17.4%しかいない。

6人に1人しか、安倍自民党に投票していないのだ。

メディアが作りだした虚構、虚偽情報に踊らされると、1940年代の日本を繰り返すことになる。

「下り坂」に転じた第2次安倍政権。

流れを変えることは不可能であると思われる。

アベノミクスがなぜ失敗しているのかと言えば、

アベノミクスが国民の幸福を目指していないからだ。

アベノミクスが目指しているのは、

大資本の幸福

である。

日本を支配している支配層は、

米・官・業・政・電

の五つだ。

日本支配の頂点に君臨しているのが

米国

=強欲巨大資本

である。

1%が99%を支配している

と言われるが、その1%が、

グローバルな強欲巨大資本

なのである。

このグローバル資本の支配体制の下に、

日本の官僚機構



日本の大資本

が位置する。

米・官・業のトライアングル

が日本を支配している。

このトライアングルが手先として使っているのが

利権政治屋



電波産業=マスメディア

である。

近年の特徴は、主権者を誘導するために、

電=電波産業=マスメディア

を完全支配している点にある。

第2次安倍政権の閣僚である高市早苗総務相が、2月9日午前の衆院予算委員会で、

放送事業者が政治的公平性を欠く放送を繰り返し、行政指導でも改善されないと判断した場合、

電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性

に言及した。

放送法は第4条で、

放送事業者が、国内放送及び内外放送の放送番組の編集に当たつて、

政治的に公平であること

意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

と義務として定めている。

高市氏の答弁は、これに反した場合、

電波法76条に基づいて電波停止を命じる

可能性に言及したものだ。

近年のNHK報道は、

「政治的公平」を完全に欠いている。

また、

「意見が対立している問題」

について

「できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」

も怠っている。

政治的に偏向した番組編集が行われている。

このような偏向した放送を行うNHKがテレビ設置者から放送受信料を強制徴収することは、

財産権の侵害であり、許されることでない。

NHKとの受信契約は直ちに任意制に移行するべきである。

NHKの大本営化などが深刻な問題になっているが、高市氏が述べてのは、これと真逆の対応である。

政府を批判する情報を流すメディアに対して懲罰的対応を示すことが示唆されているのである。

ドイツのナチ党が、全権委任法を制定して、独裁政治に突き進んだ。

安倍自民党は主権者全体の、わずか17.4%の直接支持しか受けていないにもかかわらず、

いま、独裁政治の傾向を強めている。

そのための手法として、メディアの支配、メディアの統制を強めている。

日本の「戦前への回帰」は、もはや仮想の段階を超えている。

しかし、ここで主権者は冷静に考えるべきだ。

安倍自民党への直接支持は、わずかに17%しかないのである。

御用メディアが

「一強」、「一強」

と繰り返すから、何となく、その情報に洗脳されてしまいやすいが、

安倍自民党の直接支持は17.4%しかないことを、再確認するべきだ。

内閣支持率も、おそらく3割以下というのが真実だろう。

「ウソの情報も100回流せば本当になる」

といった感覚で、安倍政権はマスメディアにウソの情報を流布させているのだと思われる。

主権者の25%が連帯すれば、安倍政権を倒し、主権者政権を樹立できる。

このメカニズムを認識して、必ず実現しなければならない。

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