★なぜ外務省OBたちの外交評論は面白くないのかー(天木直人氏)

外交が大きな問題になるたびに、元外務官僚たちのコメントがきまって新聞紙面をにぎわす。

 こんどの北朝鮮の危機にあたってもそうだ。

 田中均日本総合研究所国際戦略研究所理事長(同期)が2月8日の日経新聞紙上で語っている。

 美根慶樹平和外交研究所代表(一年先輩)が朝日新聞紙上で語っている。

 薮中三十二立命館大学特任教授(一年後輩)が毎日新聞紙上で書いている。

 みな、天下って現在の地位にある者たちだ。

 その内容はここで引用するまでもない。

 書くに値しないからだ。

 中途半端で、あたりさわりのない、誰でも出来るような評論であるからだ。

 なぜそのような外務官僚OBの評論はつまらないのか。

 同じ外務官僚OBでも、谷内正太郎内閣安全保障局長(同期)のように、

安倍政権に重用され、対北朝鮮強硬外交を全面的に主張するのならわかりやすい。

 同じ外務官僚OBでも、権力に楯突いて、もはや失うものがなくなった私のような者なら、

本音を述べて安倍外交を徹底的にこき下ろすことができる。

 どちらの政策が正しいかは別として、その主張は明快だ。

 ところが彼らは、そのいずれでもない。

 いずれ権力側に招いてもらうことを期待するから権力批判は出来ない。

 だからといって、谷内NSC局長と違っていまは権力の外にあるから、

安倍外交べったりでは御用評論家と見なされ、評論家としての評判を落とす。

 だから中途半端な評論しか出来ないのだ。

 外交に限らず、メディアに登場する評論家には、このような評論家がなんと多い事か。

 保身や私欲を優先する者たちの評論は、すべからく眉に唾つけて聞いたほうがいいということである。

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