★「フォードの日本完全撤退」報道から見えてくるものー(天木直人氏)

昨晩のテレビ報道に次いで、今朝の各紙がいっせいに報じた。

 米自動車大手のフォードが日本から完全撤退すると発表したと。

 その理由がわかりやすい。

 「収益性確保に向けた合理的な道筋が立たず、

投資に対して十分な収益は見込めないと判断した」(1月26日読売)というのだ。

 要するに少子化で購買力がなくなってきた日本では、将来を見通しても売れない、もうからない、ということだ。

 アベノミクスに対する強烈なダメだしではないか。

 中国経済がいくらバブルがはじけたと言っても、中国からの撤退はありえないだろう。

 しかし、私がこのニュースで驚いたのは、日本経済がフォード社に見限られた事ではない。

 このような重大な発表をフォードが社員宛てのメールで公表したことだ。

 日本政府(経済産業省)にとってこれほど重大な政策決定であるのだから、

普通ならば日本政府に内報するはずだが、それがなかったのだろうか。

 そこまで日本政府はフォード社に軽んじられているというのか。

 あるいは通報されていても、都合の悪い情報だから、日本政府がそれをメディアに伝えなかったのか。

 メディアもメディアだ。

 このような重要な動きを全く察知していなかったとでもいうのか。

 日本政府から官製情報を垂れ流してもらわなければ、何も書けなくなってしまったとでもいうのか。

 これほど大きなニュースにもかかわらず、各社の報道はどれも同じように小さい。

 これがメディアの独自調査で得たスクープなら大見出しで報じたに違いないが、

フォード社の社内メールをコピーして書くのだからそれもそのはずだ。

 何から何まで、いまの日本を象徴するようなフォード社日本完全撤退のニュースである。

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