★天皇陛下の言葉と原発の再稼働。
「自然災害を受けやすい環境にあり日本人一人ひとりが防災の心を培うとともに」の言葉の持つ意味,
NHKまた「自然災害を受けやすい環境にあり」の箇所省略-(孫崎享氏)

平成28年天皇陛下のご感想(新年に当たり)は次の通りであった。

「昨年は戦後70年という年に当たり,多くの人々が先の戦争に思いを致した1年でした。

新年を迎え,改めて国と人々の平安を祈念します。

東日本大震災から間もなく5年を迎えようとしています。

未いまだそれまで住んでいた地域に戻れずにいる人々や,

仮設住宅で苦労の多い生活を送っている人々があることが案じられ,

こうした人々が寒さの厳しい冬を健康に十分気を付けて過ごされるよう,

そして,被災地域の復興が少しでもはかどるよう,願っています。

私どもの住む日本は誠に美しい自然に恵まれる一方,

自然災害を受けやすい環境にあり,今年も日本人一人ひとりが防災の心を培うとともに,

お互いが気を付け合って,身を守る努力を続けられることを心より希望しています。

本年が日本と世界の人々にとって幸せな年になることを祈ります。」

 このご感想(新年に当たり)の次の部分に着目していただきたい。

「私どもの住む日本は誠に美しい自然に恵まれる一方,

自然災害を受けやすい環境にあり,今年も日本人一人ひとりが防災の心を培うとともに,

お互いが気を付け合って,身を守る努力を続けられることを心より希望しています。」

 ここには、勿論原発の再稼働に反対と言っている訳ではない。

しかし、そのメッセージは明確と思う。

「自然災害を受けやすい環境にあり」,「日本人一人ひとりが防災の心を培うとともに」,

「気を付け合って,身を守る努力を続ける」とある。

「自然災害を受けやすい環境にあり」,の最大は原発である。

天皇が福島原発事故を念頭に置いているのは、

「いまだそれまで住んでいた地域に戻れずにいる人々」と言及していることでもわかる。

 地震と原発事故の関係については様々な人が言及している。

 その代表的なものは、福島原発事故善の石橋克彦神戸大学教授、

衆議院予算委員会公聴会(2005年2月23日)の発言である。

「アメリカでは地震現象というのは、地震というのは原子力発電所にとって

一番恐ろしい外的要因であるというふうに考えられております。

地震の場合は複数の要因の故障といって、いろんなところが振動でやられるわけですから、

それらが複合して、多重防護システムが働かなくなり、

最悪の場合にはいわゆるシビアアクシデント、

過酷事故という炉心溶融とか核暴走とかいうことにつながりかねない訳であります。」

 こうしてみると、「私どもの住む日本は誠に美しい自然に恵まれる一方,

自然災害を受けやすい環境にあり,今年も日本人一人ひとりが防災の心を培うとともに,

お互いが気を付け合って,身を守る努力を続けられることを心より希望しています。」

の部分は極めて重要なメッセージが込められている。

 その中、日本の大手メディアはどの様に報じているであろうか。

 NHKニュースを見てみよう。

「未だそれまで住んでいた地域に戻れずにいる人々や、

仮設住宅で苦労の多い生活を送っている人々があることが案じられ、

こうした人々が寒さの厳しい冬を健康に十分気を付けて過ごされるよう、

そして、被災地域の復興が少しでもはかどるよう、願っています」と述べられました。

そして、「今年も日本人一人ひとりが防災の心を培うとともに、

お互いが気を付け合って、身を守る努力を続けられることを心より希望しています」とつづられました。

「自然災害を受けやすい環境にあり」,の表現は抜けている。

「自然災害を受けやすい環境にあり,今年も日本人一人ひとりが防災の心を培うとともに」と、

単に、「今年も日本人一人ひとりが防災の心を培うとともに」とは大きく意味合いが異なる。

 NHKはその点に気付いていないのか。

 私は気付いていると思う。だから抜いた。

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