★参院選で消費税再増税中止&減税を提示せよー(植草一秀氏)

『金利・為替・株価特報』=TRIレポート

http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html

の年次版として2013年より著書を刊行しているが2016年版が年初から販売される。

タイトルは

『日本経済復活の条件
 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意-』

http://goo.gl/BT6iD7

である。

アマゾンではすでに予約を受け付けているので、ぜひご利用いただきたい。

第二次安倍政権が発足して丸3年の時間が経過した。

8664円だった日経平均株価は本年6月に20868円にまで上昇したが、

この年末にかけて再び18000円台に値を崩している。

株価が上がったことだけに着目すると、

安倍政権の経済政策=アベノミクスは成功しているかのような印象を与えるが、

経済全体はまったく浮上していない。

実質経済成長率は、

2013年度 +2・0%
2014年度 -1.0%

2015年4-6月期 -0.5%(年率)
2015年7-9月期 +1.0%(年率)

となっている。

日本経済全体はまったく浮上していない。

NHKなどは、討論番組で

「緩やかな景気回復が続いている」

などと表現するが、完全なる誤報である。

緩やかな回復などまったく実現していないのだ。

2013年は日本経済が小幅浮上した。

野田政権の超緊縮財政政策運営を安倍政権が軌道修正したからだ。

しかし、2014年に日本経済は撃墜された。

消費税率を3%引き上げたことが、日本経済転落の主因になった。

そして、その後遺症がいまも続いている。

2015年の日本経済は、文字通り、地を這うようなものになっている。

このなかで、唯一浮上しているのが、大企業の利益である。

大企業の利益だけが拡大し、これを反映して株価が上昇した。

しかし、光の裏側に影ができる。

大企業の利益が増大した反面、労働者の所得は減少した。

労働者の犠牲の上に大企業利益の増大があり、株価の上昇がある。

また、安倍政権が掲げたインフレ誘導は、失敗に終わったが、

成功していれば、庶民の暮らしはさらに悪化していたはずだ。

インフレで利益を得るのは大企業だけなのだ。

年収200万円に届かない、ワーキングプアと呼ばれる労働者が1000万人を超えている。

労働者の4割は非正規労働者である。

労働者の7割は中小企業で働いている。

大多数の一般庶民、一般労働者にとってプラスになる施策を、安倍政権は何ひとつ実行していない。

経団連に働きかけて、ベアを実現させたなどと自慢するが、

大企業の賃上げで潤うのは、労働者のなかのほんの一握りの上澄みの部分だけなのだ。

財務省は日本財政が危機だというウソをばらまいて、

庶民から税金をむしり取る消費税増税を熱烈推進している。

それなのに、財務省の天下り利権を切ることなど、一切しない。

野田佳彦氏は、

「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」

と声を張り上げたが、その野田佳彦氏が、

「シロアリを退治しないで消費税を上げる」

ことに突き進んだ。

罪深きはこの男である。

安倍政権は、

「弱きを挫き、強きを扶(たす)く」

路線をまっしぐらに突き進んでいる。

しかし、この路線の行く末は漆黒である。

「資本栄えて民亡ぶ」

の道を突き進むが、その延長上にあるのは、

「民亡びて資本も亡ぶ」

である。経済政策路線の根本転換が必要不可欠だ。

法人税減税はまったく必要がない。

2007年11月に政府税制調査会は

「日本の法人の税および社会保険料負担は国際比較上高いとは言えない」

という結論を示している。

当時の法人実効税率は約40%だった。

企業の税負担は税率だけで比較できない。

課税は、収入から各種控除を終えた「課税標準」に対して税率を乗じて行われる。

各種控除等が大きければ「課税標準」が小さくなり、税率は高くても税負担は軽くなる。

また、企業の負担は課税負担だけではない。

社会保険料負担がある。

これも併せて考えなければならない。

2007年の政府税調調査は、

課税ベース=課税標準と社会保険料負担を考慮して国際比較を行なったものである。

その結果として、日本の法人負担は国際比較上、高いとは言えない、という結論を示したのである。

だから、これ以降、法人税減税を実施する正当な理由は存在しない。

しかし、安倍政権は狂ったように法人税減税を推進している。

法人実効税率は2016年度に30%を下回ることになる。

その一方で、庶民課税である消費税大増税が推進されている。

消費税は悪魔の税制である。

所得税の場合、夫婦子二人で子供が大学生の場合、年収325万円までは所得税負担がゼロである。

1949年のシャウプ勧告以来、日本の税制の基本には、

「応能課税」

という考え方が置かれてきた。

「能力に応じて課税する」

という考え方だ。

所得の少ない人には課税しない。

しかし、所得の莫大な人には多額の税負担をしてもらう。

この税制が、

「結果における平等」

を実現する重要な手段として用いられてきた。

ところが、安倍政権は法人税を大幅減税する一方で、消費税増税を推進してきている。

消費税は所得がゼロの人にも襲い掛かる税金である。

他方で、億万長者も、所得ゼロの人と同じ税率しか課せられない。

「金持ち優遇」

「逆進的な」

税制なのだ。

消費税率が5%から8%に引き上げられ、さらに、10%に引き上げられようとしている。

これが、多数の低所得者の生活を破壊している。

世界第3位のGDPなどと言いながら、

貧困で命を失う人々を大量発生させているのが安倍政治なのである。

日本政府の借金が1000兆円で大変だと宣伝されるが、日本政府は資産も1000兆円以上保有している。

負債から資産を差し引いた純債務はほぼゼロである。

借金1000兆円という話と、純債務ゼロと言う話は、天と地以上の開きがある。

日本政府がデフォルトに陥るリスクは、金融市場ではまったく認識されていない。

デフォルトリスクが皆無であるから、金利が0.3%という低位で推移しているのだ。

日本国債の格付けを引き下げた格付会社に対して財務省自身が意見書を公表している。

https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm

このなかで、財務省は

「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」

と述べている。

格付機関に対して、日本国債デフォルトのリスクなしと主張する財務省が、

日本国民に対しては「日本財政は危機的状況、明日にもギリシャのような状況に陥る」

という風説を流布している。

そして、天下りは維持拡大、法人税は減税に次ぐ減税をする一方、

中低所得者から税金をむしり取る消費税大増税に突き進んでいるのだ。

2016年7月参院選で安倍対峙勢力は、

消費税再増税中止

消費税率5%への引下げ

を提示するべきだ。

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