RrrRrrr31

るー · @RrrRrrr31

26th Dec 2015 from TwitLonger

ちょっと長くなりましたが感想をば。多分ネタバレ無し。
#ラストキャバリエ

日本史における動乱期は数あれど、幕末ほど要人の暗殺が蔓延った時代というのは他にはない。翻せば、ほん少しの匙加減の違いで、暗殺された者を守り切ることで、歴史が変わった可能性を感じさせる時代である。

幕末に詳しくない人でも、そう言われて思い浮かぶ人物は何人かいるはずだ。
そして、仮に暗殺されなかった人物がいたとしたら、生きてさえいれば新たな事を成し、歴史を作っていく。英傑とはそういうものだ。

本作では、新撰組に属する沖田総紫が主人公である。彼にはあまり強固な思想的背景はない。だからこそ、多摩の田舎から動乱の京洛に身を投じ、自らを含む様々の人間の生と死を見つめ、開かれた目を以って捉えた英傑たちを素直に評価する。

総紫が投じたのはわずかな一石かもしれない。だが、生じた波紋は広がり、他者からの波紋を増幅し、また、打ち消し合い、新たな大きなうねりとなる。本作は大きく3つのシナリオに分かれるが、うち2つのシナリオは総紫の成し遂げたきっかけが痛快なまでに伝播する。これこそ歴史ifモノの醍醐味である。

残る1つのシナリオは結末にささやかな変化しか与えていない。だが、だとしても総紫の愛情が、結末を捻じ曲げたのは事実であり。確かなものであったと思う。



目まぐるしく移り変わる情勢と、加速しながら坂道を転がり落ちる幕府と新撰組。わずか数年間の中で、狂騒が心を急き立てる。その中で必死に生まれて、生きて、死んだ沖田総紫と新撰組と維新の英傑の物語。

要素だけ並べれば、「女装主人公」「新撰組女体化」「スチームパンク」とごった煮感の溢れる設定であるが、これこそがアダルトゲームという媒体の得意とするところ。本作、「機関幕末異聞ラストキャバリエ」は正統なるエンターテインメントであった。

Reply · Report Post