★訪韓を命じた安倍首相の愚と、それを受け入れた岸田外相の愚-(天木直人氏)

きょうのニュースは何といってもこれで決まりだ。

 安倍首相が岸田外相に訪韓を命じたらしい。

 慰安婦問題の年内妥結を実現して来いというわけだ。

 この突然の外交をどう評価すべきか。

 一番正しいのは、進展すれば大したものだ、頑張ってきてほしい、と褒め殺すことだ。

 しかし、それでは面白くないので、どうしても一言書かざるを得ない。

 11月初めの首脳会談で慰安婦像撤去がすべての前提だと朴大統領に直接伝え、

慰安婦問題の進展をぶち壊したのは安倍首相だったはずだ。

 自分が解決出来ないものを外相に命じてどうするのか。

 それを一番知っているのは岸田外相のはずだ。

 小僧の使いに終わる事が明らかな命令を引き受けてどうする。
 
 安倍首相が岸田外相の派遣を決めた理由は、最近下された韓国裁判所の二つの判決だという。

 つまり産経新聞記者の無罪判決と、日韓請求権協定却下の判決であるらしい。

 これが韓国政府による関係改善のシグナルだというわけだ。

 笑止だ。

 敵失につけ込んで外交がうまく行くなら、とっくに日韓関係は改善しているはずだ。

 日本政府による謝罪と日本政府の慰安婦に対する補償。

 この二つについて、あらたな提案を岸田外相が提示しない限り、訪韓は失望に終わる。

 しかし、安倍首相にとってあらたな提案は譲歩であり、いまの安倍首相に譲歩の選択はない。

 だから、今度の訪韓は、これまで通り、話し合いの継続に終わる。

 お互いが自画自賛する外交に終わる。

 そして、そのような外交を繰り返すうちに、ますます解決が困難になっていく。

 今度の突然の岸田外相の訪韓は、打つ手のない安倍首相と朴大統領のジレンマのあらわれである。

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