★米中の密約を知らされない日本外交では中国に勝てないー(天木直人氏)

「米中は切っても切れないパイプで結ばれ、日本は何も知らされていない」

 こういう衝撃的な発言から始まるきょう12月20日の日経新聞の

秋田浩之編集委員の手による「風見鶏」の内容は、日本外交を考える上で衝撃的だ。

 この発言の主はマイケル・ピルズベリー氏である。

 その名前を聞いて、彼が長年にわたって米国中央情報局(CIA)や

国防総省の対中政策に携わって来た人物であると即座に思いつく読者は、かなりの外交通だ。

 彼の著書「CHINA 2049」の邦訳が今秋日本でも発売され話題になった。

 話題になったけれど、その著書がどれだけ重要な意味を持っているか、

それを正しく評価した日本の専門家をこれまで私は知らない。

 やっとはじめて私は見つけた。

 秋田編集委員は、ピルズベリー氏と対談した時の彼の言葉を引用して次のように書いてる。

 米中は対立しない。両国には長い秘密協力の歴史があるからだと。

 しかも米国は一切、その実態を日本に伝えてこなかったと。

 確かに米国内では中国の覇権主義に懸念を抱き、米中の対立は深まり、

米国の対中政策は厳しくなっていくと考える者が出て来た。

しかし彼らでさえ米中密約の長い歴史を知らされれば、その考えを変えるはずだ、と。

 つまり米国政府内部でさえ密約のすべてを知っている者はいないということだ。

 このピルズベリー氏の言葉を日本の外交決定者たちは肝に銘じるべきだ。

 ピルズベリー氏は最後にこう語ったという。

 何も知らせなかった日本に対し罪悪感を感じていると。

 組むべき友人は日本ではなく中国だ、というキッシンジャー元国務長官らの

対中重視路線に乗り、日本を軽視してきてしまったからだ、と。

 しかし、ピルズべり―氏が如何に日本に罪悪感を感じたとしても、

彼はただの国防総省の顧問でしかない。

 キッシンジャー氏はいまでも健在だ。

 オバマ政権の外交・安全保障政策を任されているライス安全保障補佐官は、

キッシンジャー氏を師と仰いで日参しているという。

 そしてキッシンジャー信奉者は今でも日本に多くいる。

 日本外交は米国の手のひらから抜け出せないままであるということだ。

 対米従属の安倍外交では、日本は中国に勝てないということである。

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