★7.10衆参ダブル選への総がかり行動を直ちに始動-(植草一秀氏)

「安倍政治を許さない」

の言葉に賛同する主権者は多いと思う。

何度も指摘するが、2014年12月の総選挙比例代表選で、

安倍政権与党に投票した主権者は、全体の24.7%に過ぎなかった。

安倍晋三自民党に投票した主権者は、全体の17.4%に過ぎなかった。

主権者全体の4人に1人しか、安倍政権与党である自公には投票していないのである。

主権者全体の6人に1人しか投票していないのである。

自公の与党は、衆議院475の定数の3分の2を上回る326議席を占有したから、

「最強」のように見えるが、基盤は驚くほどに弱い。

自公でない勢力に投票した主権者は、全体の28.0%だった。

自公よりも多かった。

したがって、政治情勢はいつでも激変し得る。

安倍政権が退場して、対峙する勢力が政権を樹立する可能性は、常に存在しているのが現実だ。

この、「不都合でない現実」を常に踏まえておかねばならない。

2014年総選挙では、非自公への投票が全体の28.0%、

自公への投票が全体の24.7%であったのに、

議席獲得の比率は、非自公が31.6%、自公が68.4%だった。

3対7という、ダブルスコア以上の差がついた。

その理由は、非自公が候補者を乱立し、得票が分散したからである。

また、自公の支持者ではない主権者の多数が選挙に行かなかったことも強く影響した

投票率は52.66%。

主権者の半分は選挙に行かなかったのだが、

この選挙に行かなかった人々の多くが自公を支持しない人であった可能性が高い。

選挙に行ったところで、自公が勝ってしまうのだから、行く気も起きない、というのが実態だっただろう。

主権者の多数が

「安倍政治を許さない」

と思うなら、この選挙の教訓を生かす必要がある。

それは、安倍政治に対峙する勢力が大同団結することだ。

安倍政治に対峙する勢力も一枚岩ではない。

主義主張が細部で割れることはいたし方ない。

逆に、すべてが一致することは不自然であろう

大事なことは、

「小異を残して大同につく」

という考え方だ。

この考えで、大同団結することが大事なのだ。

オールジャパン平和と共生

http://alljapan25.com

は、

原発・憲法・TPP・基地・格差

の5大政策において、安倍政権に対峙する政策公約の実現を目指す主権者運動である。

この基本と原則は愚直に守り、その実現を追求し続ける。

しかし、この目標の手前に、

「安倍政治を許さない!」

という大きなテーマがあることは間違いなく、

「安倍政治を許さない!」

の思いを共有する人々や市民運動グループとは、

「小異を残して大同につく」

の行動で連帯を図ってゆく。

「オールジャパン平和と共生」は、

「25%連帯運動」

の副称を有している。

主権者の25%の大同団結を呼びかける運動である。

だから、大同団結に積極的であるのは当然のことなのである。

参院選は6月23日公示、7月10日投開票日の日程で実施される可能性が高い。

さまざまな動きは、この参院選に照準を定めたものである。

しかし、備えるべき対象はこれだけではない。

衆参ダブルの可能性を排除できない。

日本国憲法第54条は次のように定めている。

第五十四条 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、

衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。

安倍政権は、この規定を念頭に入れて通常国会の召集日を決めた。

通常国会は1月4日に召集され、6月1日が会期末になる。

6月1日に衆議院を解散すると40日ルールによって、7月10日の衆院選投開票日設定が可能になる。

通常国会召集に日程設定は、7月10日に衆参ダブル選を行える環境を整えるものになっている。

ダブル選を実施することを決定しているわけではないが、

ダブル選に打って出ることのできる環境を整えているのである。

1955年体制確立後の、衆参ダブル選実施の事例は2例ある。

1980年6月22日と1986年7月6日の二つの例である

過去2回ある衆参ダブル選では、自民がいずれも圧勝している。

したがって、安倍政権が7月ダブル選に突き進む可能性は十分にある。

前回の衆院総選挙は2014年12月14日に実施された。

ちょうど1年前である。

現在の衆院議員の任期は2018年12月まであり、

与党の党利党略で衆院をみだりに解散することは、権力の濫用である。

しかし、正論が通じる相手ではない。

暴論を常とし、暴政を強行する、暴走政権であるから、

憲政の常道や、

立憲主義の基本など通用しない。

貫かれている原理は、

「今だけ、金だけ、自分だけ」

の「三だけ主義」である。

したがって、2016年の衆参ダブル選の可能性を排除できない。

衆院の任期満了は2018年である。

これを踏まえて次の選挙の時期を考察する際に、ポイントになるのは、

消費税率10%

だ。

現在の予定どおり、2017年4月に消費税再増税を強行する場合、2017年の総選挙はあり得ない。

これの前に選挙を実施しない場合、選挙は2018年になる。

しかし、2018年に景気が復調している保証はない。

2018年の選挙は、政権が日程を自由に選べる選挙にはならない。

環境が悪くても、任期が切れてしまうため、選挙を実施せざるを得ない。

「追い込まれ解散」

「追い詰められ選挙」

になるリスクが高い。

こうなると、2017年4月の前に選挙をやってしまうという選択肢が浮上するのだ。

そうなると、2016年の選挙となるが、

過去のダブル選で自民党が大勝している経緯を踏まえると、7月ダブル選という選択肢が浮上するのだ。

この場合、もう一つ注意しておかなければならない事項がある。

それは、

「消費税再増税の再先送り」

である。

2017年4月の消費税増税実施を前提に検討していながら、

その増税を再先送りするというのは奇異な印象を与えるかも知れないが、そうではない。

2017年4月の再増税については、2016年に決める必要があるのだ。

つまり、消費税再増税を仮に再先送りする場合、その決定は、必ず2016年に行われることになる。

そうだとして、その再先送りの効果を選挙に生かすことを考えるなら、選挙は2016年にやるしかないのだ。

2016年に消費税再先送りを決めて、2017年に選挙を実施しても、

増税先送りの有権者へのインパクトは、すでにほとんど消えていると考えられる。

したがって、消費税再増税を再先送りする場合、選挙実施は2016年になる。

その場合、最も有力なケースは、7月10日の衆参ダブル選である。

問題は、大義名分ということになるが、その大義名分に利用されると見られるのが、

軽減税率問題

である。

軽減税率が食料品一般に適用されることになった。

しかし、実施には大きな準備作業が必要になる。

そこで、軽減税率を導入することを踏まえて、

準備期間を十分に確保するという大義名分で、再増税を再先送りするのだ。

安倍首相は、2014年の選挙で、「増税先送り」の選挙効果に味をしめた。

二匹目のドジョウを狙うと考えそうだ。

思考は単純なのだ。

野党も市民運動も、そして、主権者も、

2016年7月10日

衆参ダブル選を前提に、総がかり行動を直ちに始動しなければならない。

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