★思いやり予算増額を望んだ外務・防衛官僚-(天木直人氏)

思いやり予算の日米交渉について、私は何度も書いてきた。

 その交渉内容を国民が知る必要があるからだ。

 ところが、それを教えなければいけないメディアが、何も報じようとしない。

 そんな中で、私は新聞記事の中からヒントになる部分を見つけて、

その交渉の内実に迫る推論を何度も書いた。

 そんな私に、この上ない情報を提供してくれたのが

発売中の週刊現代(12月26日号)の「霞が関24時」という連載コラムだ。

 そこには次のように書かれていた。

 日米交渉の水面下では財務省VS外務省・防衛省という、

もう一つの暗闘が繰り広げられていた、と。

 すなわち、財務省は安保法の成立によって自衛隊の役割は強化されるのだから、

思いやり予算は削減すべきだと主張したという。

 これに危機感を抱いた外務省と防衛省は、逆襲に転じたというのだ。

 すなわち外務省は、「削減するのでは米国が了承しない」と官邸サイドを説得したという。

 防衛省は防衛省で、普天間移設について沖縄県民の理解を得るためにも、

合意済みの嘉手納飛行場より南の米軍施設・区域の返還を加速しなければいけない。

そのためにも「思いやり予算」で米側ともめるのは得策ではない、と官邸を説得したと言う。

 なるほど。これで納得だ。

 しかし「霞が関24時」でも書かない事がある。

 外務省が省をあげて対米従属であることは明らかであるが、防衛省はそうではない。

 内局、つまり防衛官僚は、柳沢脇二氏のように良識派もいる。

 自衛隊の命を預かる使命の重さを認識しているからだ。

 だから、霞が関24時のいう防衛省とは、制服組、つまり自衛隊であり、しかも自衛隊幹部の事だ。

 米国の戦争につき合わされる自衛官の多くはそうではない。

 つまり外務官僚と自衛隊幹部こそ、

日本の外交・安保政策を絶対的な対米従属にしている張本人たちなのである。

 すべては保身と出世のためだ。

 霞が関24時の記事で注目すべきもうひとつは、安倍・菅官房長官の対応だ。

 当初は財務省の意見に耳を傾け削減に賛成していたという。

 ところが、外務・防衛官僚に説得されて、米国と揉めるのは得策ではないとなったらしい。

 霞が関24時の記事でわかったこと。

 それは、日本の対米従属の元凶は、

自らの保身と出世の為に日米同盟最優先を唱え続ける

この国の外務官僚と自衛隊幹部であるということである。

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