★インドへの新幹線売り込み成功を「胸のすく思い」と書いた朝日ー(天木直人氏)

原発輸出と並んで新幹線売り込みが、今度の安倍首相訪印の二大目的だったに違いない。

 いずれも中国に負けてはならじという安倍首相の思いから来るものだ。

 そのためには、核不拡散という日本の大方針を捻じ曲げ、

経済的フィージビリティに沿った資金協力の供与方針まで変えた。

 インドネシアでの新幹線売り込みに負けた日本は、

あれほど中国の援助政策を批判したにもかかわらず、いま同じ事をやっている。

 ところが、この安倍首相の新幹線売り込みを、批判するどころか、

「胸のすく思いだ」と書いた論評を見つけた。

 読売新聞や産経新聞ではない。

 朝日新聞に見つけたのである。

 きょう12月13日の「日曜に想う」という論評がそれだ。

 「官民挙げた努力が実って、日本の新幹線がインドへ輸出されることになった。格別に胸のすく思いがする」

 こういう書き出しで始まる山中季広特別編集委員のその論評はあまりにも異常だ。

 インドネシアへの新幹線売り込みを中国にかっさらわれたことについての恨み節一色だ。

 中国の猛攻勢に怒り、日本をだましたジョコ・インドネシア大統領を恨み、

挙句の果てに中国の手によるインドネシア新幹線事業はうまく行かないとまでこき下ろしている。

 きわめつけは自分の狭量さを次のように認めているところだ。

 「われながら狭量すぎる。日本の新聞社で働く記者だから当然と言えば当然なのだが、

どうも競争相手が中国となると肩に力が入ってしまう」と。

 それにもかかわらずさらに次のように書いている。

 次は国産ジェット機だ。三菱航空機MRJには、中国のARJ21という好敵手がいる。

いまや中国の国内総生産(GDP)は日本の倍だ。軍事予算は3倍を超す。

人民元は国際通貨として円を脅かし、五輪の獲得メダルでも、

月面探査でも日本のはるか先を行く。

何であれ、中国に追い抜かれたとなると、われらが心は千々に乱れる・・・

 ここまであからさかに書く朝日新聞の編集委員。

 それをそのまま日曜日のコラムに大きく掲載する朝日新聞社。

 しかし、それを異常と思う私が異常なのか。

 ひょっとして山中編集委員の考えが日本国民の大勢であるのかもしれない。

 そう思ったりする。

 安倍首相の支持が下がらない理由がここにあるのかもしれないと思うと暗澹たる気持ちになる。

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