★特定秘密保護法施行1年でわかったことー(天木直人氏)

天下の悪法である特定秘密保護法が施行されて12月10日で1年がたつ。

 そのタイミングにあわせ、各紙はこの悪法の危険性をあらためて懸念する記事を書いていた。

 それに対し菅官房長官は12月10日の記者会見で次のように語った。

 「報道が委縮する、情報を得ようとする市民や記者が罪に問われるなど、

皆さんが懸念された事は全くなかった」。

 いつもの私ならこれを菅官房長官のウソ答弁と批判するところだ。

 しかし実はこの発言は特定秘密保護法の最も重要なところを見事にあぶり出しているのだ。

 すなわち、特定秘密保護法のもっとも重要な部分は、

公務員が内部情報を外に漏らす事を厳しく取り締まることにある。

 そうして、情報流出の根っこの部分を止めるのである。

 そのことは決してメディアや市民を直接害することはない。

 しかし情報の流出を厳しく取り締まる事により、結果として情報隠しを徹底することになる。

 そして、この目的を達成するのに、特定秘密保護法は見事に成果を上げているのだ。

 12月4日の共同が次のような記事を配信していた。

 すなわち特定秘密保護法に基づき、

機密を扱う公務員らの身辺を調べる「適性評価」を政府が行ったが、

防衛、外務両省の職員ら計25人がその評価を拒否した。

拒否の理由は不明だが、公務員らの一部も抵抗感を抱いていることがうかがえる、と。

 この共同の記事の意味するところは何か。

 それは政府が「適性評価」という名の下に、

常日頃政府に批判的な言動をする者に目をつけ、

彼らに不適格者の烙印を押し、特定秘密を扱わせず、

場合によっては配置転や業務の変更をする、ということだ。

 不適格という烙印を押されれば出世の道が閉ざされることになる。

 公務員の身分保障を否定する言語道断な評価だ。

 そんな評価を拒否するのは当たり前だ。

 しかしいくら拒否をしてもいったん不適格と見なされればそれで終わりだ。

 その処遇におそれて公務員はすべて権力に従順になり、

政府にとって都合の悪い情報はメディアや外部に出さなくなる。

 こんなことは一般国民にとっては気づかないことだ。

 一般国民に問っては利害関係のない事だ。

 しかし、結果として知る権利が大きく奪われることになる。

 特定秘密保護法の本当に邪悪なところはそこにある。

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