★矛盾を重ねる岡田民主党と民主党にしがみつく者たちの末路ー(天木直人氏)

私は日米開戦を記念して12月8日に鹿児島で行われた平和集会の講演を終えてこれを書いている。

 そこでも語った事ではあるが、いま日本の護憲派は大きな試練を受けている。

 その最大の理由はこの国の政治の中で、真の護憲政党がないことだ。

 私のいう真の護憲政党とは、いわゆる左翼だけでできた護憲政党ではなく、

保守層も含んだ幅広い国民の支持を得た護憲政党という意味である。

 岡田民主党と松野維新の党が統一会派で合意したとされる「基本的政策案」なるものの要旨を、

12月8日の東京新聞で知って、どうしようもない失望感を抱いた。

 その冒頭でかかげられた「現実的な外交安全保障」の内容はこうだ。

 「日米同盟を深化させ、アジア太平洋地域と共生実現。

安全保障は立憲主義と専守防衛を前提に現実主義を貫く。

安保法制の違憲部分を白紙化し、我が国周辺の厳しい環境に対応できる法案提出」とある。

 旧社会党系議員と松下政経塾出身議員たちの意見を折衷した見事な妥協だ。

 言葉だけが踊るがその実態は矛盾だらけだ。

 何も言っていない事と同じである。

 外交安保政策はあらゆる政策の中でもっとも重要な政策である。

 しかも安倍首相が憲法9条を公然と否定している今の政治状況では日本の命運を左右するほど重要だ。

 だからこそ冒頭に掲げているのだ。

 その重要な外交安保政策について、この期に及んでもこんなことしかできない。

 これまでの民主党の矛盾から一歩も抜け出せない岡田民主党の致命的限界だ。

 これでは新党結成はおろか統一会派でさえもうまくいかない。

 安倍自公政権に負けること必至だ。

 松野維新の党のことなどどうなってもかまわない。

 しかし、野党第一党の民主党がこれでは国民は浮かばれない。

 それでも民主党にしがみついて民主党を支持しようとしている者たちがいる。

 まさしく社会党が三つに分裂した時に、民主党に逃げ込んだ連中だ。

 純粋な新社会党はとっくに消滅し、社会党に残った連中は社民党に名を変えたが、

今度の選挙で終わろうとしている。

 民主党に移った権力迎合の体制派社会党支持者たちだけが生き延びて、

いま必死になって岡田民主党を支えているのだ。

 それでいいのか。

 民主党解党論が安倍自民党寄りの保守的な民主党議員ばかりから出てくるが、

彼らのほうがまだ正直だ。

 本当は安倍政権の政策に正面から反対する左翼的な民主党議員の中からこそ、

解党論が出て来ないといけないのだ。

 たとえ少数政党になろうとも、国民連合政権は、

反安倍政権で一致した者たちで結束しなければ、

安保法案に反対して盛り上がった国民の心をとらえられない。

 最初は少数でも国民に訴えて行けば広がると確信して行動を起こさなければいけないのだ。

 それで多数を取れなくても十分に野党としてやっていける。

 そう考えて行動を起こさなくてはいけないのに、

岡田民主党にいまでもしがみつく支持者の正体は何か。

 それは、自らの保身の為に野党第一党というブランドにしがみつくいやしい者たちだ。

 SEALDsが本物なら、そんな連中と決別してみずから独自の政治の実現を目指さなければいけない。

 清水の舞台から飛び降りる覚悟で国民連合構想を訴えた共産党が本物なら、

それを断った岡田・松野連合ときっぱり決別すべきだ。

 本来の国民連合政権構想にふさわしい政党と選挙協力を集中すべきだ。

 たとえすぐに安倍政権を倒せなくても、将来の発展性、可能性に期待すべきだ。

 このままでは野党は共倒れになる。

 安倍自民党とおおさか維新の会を喜ばせるだけに終わる。

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