★三つのNO!と一つのYES!政策で結集しようー(植草一秀氏)

日本が変わるには、日本の主権者が変わる必要がある。

第2次大戦で日本は敗戦した。

皇国の国から民主主義の国に変わった。

戦争を推進していた人々は教科書を黒塗りにして民主主義を唱え始めた。

戦争責任者の責任が問われることになったが、戦争責任は曖昧に処理された。

国民は、基本的には戦争指導者によって騙された存在ということにされたが、

国民の責任も問われることはなかった。

戦争推進に加担した勢力のうち、

もっとも強い影響力を発揮したのはメディアだったが、メディアもその責任を明らかにすることはなかった。

しかし、あの戦争中にも、戦争推進に抗った人々が、少なからず存在した。

しかし、その、正しかった人々を虐げ、攻撃したのは、戦争指導者だけではなかったはずだ。

一般の国民も、そのような少数者を虐待し、攻撃したのである。

過去を振り返り、本当の意味での誤りを見つめ、

その誤りがどのように表れたのかを吟味することなく、真の反省はあり得ない。

反省は行われず、当然のことながら、責任の処理も行われない。

一般国民は、単に「騙されていた」ということにされて、免罪されてきたのである。

だから、その体質はいまも、何ひとつ変わっていない。

人々は、常に、権力の側に我が身を置こうとする。

権力から睨まれる存在にはなりたくないのだ。

誰が何を言っているのか、誰が何をどのように考えているのかを、真剣に考えることを忌避する。

ものを考えるのではなく、ただひたすら、安全に見える場所に我が身を置こうとする。

それだけのことである。

まれに、ものごとを考える人がいる。

ものごとを考え、発言し、行動する人がいる。

そのときに、そのような少数派の人々の言葉、行動をよく知ろうとはぜず、

ただ単に、権力に歯向かう危険な存在であると認識して、関わることを拒絶する。

このような人々が、大半を占めてしまっているのではないだろうか。

そうこうしているうちに、権力者が思いもよらぬ危険な方向に人々を誘導することがある。

その行動を観察して、警鐘を鳴らす役割は、本来はメディアが担っているのだが、

メディア自身が、権力にすり寄ることしか示さない。

社会を変質させる権力の暴走を誰も止められなくなってしまう。

気がついた時には、すでに手遅れになってしまうのである。

それでも、気付く人はまだ考える力を残している。

多くの人は、気付かぬうちに、権力の暴走に実は加担する行動を取るようになるのである。

そして、再び、大きな過ちを犯す。

過去の過ちを直視してこなかったから、何が過ちで、何が正しいのかを考える力すら失っているのだ。

安倍政権が暴走を続け、二枚舌、三枚舌を使って、

ひたすら権力欲求だけを満たそうとするような下劣な政治屋を排除もできないのが、日本の主権者である。

この現状を見る限り、日本の刷新は容易なことではない。

絶望的とも言える。

しかし、そこであきらめてしまっては、すべてが終わってしまう。

マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が述べたように、私たちは、

「絶望の山に分け入り、希望の石を切り出さ」

なければならない。

その希望の灯を絶やさずに、行動を続けてゆけば、必ず道は拓ける。

このことを銘記しなければならない。

2016年7月10日に参院選が実施される可能性が高い。

この選挙に、私たちは勝利しなければならないが、

一回の選挙で、全体を覆すことができると考えるべきでない。

来年の参院選、日本政治刷新のやり直しの第一歩と考えるべきだ。

次の総選挙、そして、2019年の参院選の3回の選挙を通じて、日本政治を変える。

主権者が日本を取り戻す!

ことを実現しなければならない。

参議院の議席定数は242。

3年に一度選挙が行われ、121議席ずつ入れ替わる。

2016年の参院選で改選されない議席は、

自公が 76議席

次世代・元気・改革が 9議席

それ以外が 36議席

である。

このように区分したのは、安倍政権が9月に戦争法制を強行制定した際、

次世代、元気、改革の3勢力が、戦争法制強行制定に加担したからだ。

改選されない参議院勢力では、

戦争法賛同勢力が 85

非賛同勢力が   36

なのである。

したがって、参院で戦争法制に対する賛成と反対の勢力逆転を実現するには、

少なくとも、戦争法制反対勢力が 86議席 獲得しなければならないということになる。

自民、公明、次世代、元気、改革

の5勢力全体の獲得議席を

35以下に抑え込まねばならないということになる。

この実現は容易でない。

奇跡が起こらないと実現できないだろう。

あきらめる必要はないが、だからこそ、ここは、じっくりと腰を据えて、中期でものを考えなければならぬ。

「ゆっくり急げ!」

だ。

大事なことは、政策を基軸にすることだ。

党の名前など、ほとんど意味がない。

なぜかと言うと、党名が政策の方向を示さないからだ。

とくに問題は民主と維新。

安倍政権の政策に反対なのか賛成なのか分からない。

分からないということは、恐らく、賛成する部分が多いということだ。

たくさん議席を取ったところで、安倍政権の政策に賛成する議員が増えても、まったく意味はないのだ。

だから、政党の名前で、野党連合とかいうことに、重きを置くのはやめにした方がいい。

主権者にとって大事なのは、あくまでも政策。

どの党が主導しようが、良い政策は良いし、悪い政策は悪い。

民主党が議席を増やしたところで、悪い政策をするなら、存在意味はゼロだ。

民主党は2009年9月には良い政策方針を明示した。

しかし、鳩山政権を叩いて潰して、出現した民主党政権は、すでに変わり果てていた。

この変節民主党が日本政治を破壊してきたと言っても過言でない。

この変節民主党の主要メンバー、いわゆる悪徳10人衆が民主党でのさばっている限り、

民主党に未来はゼロだ。

主権者は、その判断をはっきりと持つ必要がある。

主権者が求める政策は、

原発・憲法・TPP

で、

安倍政治を止めること。

原発稼働・憲法破壊・TPP参加

にNOを突き付けること。

この旗を高く掲げて、この旗の下に、主権者が結集する。

その主権者が選挙の候補者を選定して、その候補者を全面的に支援する。

主権者の25%が結集すれば選挙に勝てるのだ。

党の名前なんか、まったく関係ない。

主権者が求める政策を実現する議員を、主権者が生み出すのだ。

政策として、

原発稼働・憲法破壊・TPPを許さない!

は、

安倍政権の政策にNO!を突き付けるもの。

しかし、NO!だけでは、未来を拓けない。

YES!の政策が必要だ。

それは、

「国民の所得と生活を保障する政策」

だ。

柱は三つある。

1.すべての労働者の正規化

2.すべての国民に対する一定水準の所得の保証=ベーシック・インカム

3.総合所得課税による所得税中心主義の確立

である。

これは、安倍政権の経済政策の真逆を目指すものである。

大企業の利益極大化ではなく、労働者の利益極大化を目指す。

労働所得、年金、公的扶助のいずれかの方法により、

すべての国民に対して、一定水準の所得を保証する制度を創設する。

財源として活用するのが、累進税率構造による総合所得税制度である。

また、相続税についても累進税率構造を採用する。

機会の平等ではなく、結果の平等を重視する政策を実行するのである。

これが、

弱肉強食

に対する

共生

の経済政策である。

この方針を明示して、賛同する主権者を全体の25%以上にする。

25%以上の主権者が結集すれば、政治を変えることができる。

「絶望」

に見える現状も、

具体策を提示して、プロセスを踏んで、道筋を構築すれば、

必ず

「希望の光」

になり、

「実現」

することができる。

2019年夏までの5ヵ年計画で、日本一新を実現しなければならない。

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