★政策を軸に党派超え主権者がオールジャパン候補選定ー(植草一秀氏)

これからの日本政治を考える際に、二つの重要なことがらを考えなければならない。

ひとつは、どのような政策を掲げる勢力が国会過半数議席を占有するのかである。

政権を樹立するという意味で、とりわけ衆議院過半数勢力が重要だ。

もうひとつは、政権を担い得る勢力として、どのような複数の政治勢力が存立するのかである。

衆議院の小選挙区制度は、政権交代を生み出しやすいという特性を有する。

選挙の際に死票が多く発生してしまうことは小選挙区制度の欠点であるが、

その一方で、小選挙区制は政権交代を生み出しやすいという長所を併せ持っている。

選挙制度を選択する際には、これらの長所と短所を比較衡量する発想が重要である。

現在の日本では、自公という勢力が議会過半数議席を占有している。

2014年12月の総選挙では、主権者のなかで、

この自公に投票した者の比率は24.8%に過ぎなかった(比例代表)。

しかし、この勢力が議会議席総数の68%を占有した。

圧倒的多数、議席総数の3分の2以上の議席を占有したのである。

この多数議席を背景に、現在、安倍政権は傍若無人の大暴走を展開している。

大暴走であるということは、安倍政権の政策運営に反対する主権者が多数存在することを意味している。

原発、憲法=集団的自衛権、TPP

そして

辺野古、格差

の五つの問題について、

安倍政権が推進する政策に反対する主権者は全体の過半数を超えている、

あるいは、過半数に迫る状況にあると推察される。

こうした現状を踏まえると、現行の小選挙区制度の下では、

安倍政権に対峙する政治勢力が結集して、

二大政党体制の、自公の退治勢力を形成することが合理的であると言える。

自公に対峙する政治勢力が、政権交代を担い得る、

反対勢力として存立することにより、

主権者は、主権者の意向に沿う政治権力=政権を樹立し得るからである。

2009年に樹立された、小沢-鳩山主導の民主党を軸にする政治勢力による政権は、

この図式によって樹立された政権であった。

しかし、この「小鳩政権」は、わずか8ヵ月半の短期間で消滅した。

その背景には、日本政治を支配し続けてきた日本の既得権益勢力が、

この反対勢力による政権樹立を心底恐れ、この政権を破壊するために、

暴虐、謀略の限りを尽くしたという現実がある。

米官業のトライアングル、

米官業政電の悪徳ピラミッド勢力にとって、「小鳩政権」の誕生は、まさに悪夢そのものであった。

この悪夢を打ち消し、二度と悪夢にうなされることがないようにすること。

これが既得権勢力にとっての至上命題になった。

この悪夢を二度と繰り返さないようにするにはどうすればよいのか。

それは、小選挙区制度の下での「二大政党体制」を構築する際に、

自公の対極に位置する反対勢力が、「自公対峙勢力」ではなく「自公補完勢力」になることである。

日本を支配する「悪徳ピラミッド」の頂点に位置する米国は、このことを目指し続けていると考えられる。

その、「自公補完勢力」として、米国が介入し続けているのが、

民主、維新、大阪維新

の勢力である。

野党再編、政界再編の話が出るごとに、この勢力が取り沙汰される。

現有議席が多いという事情はあるが、

それ以上に、この勢力を軸に野党再編が論じられるのは、上記の事情があるからだ。

2008年以降、「みんな」や「橋下維新」が不自然に脚光を浴びてきた。

その背景には、CIAを含む米国による工作、情報操作があったことは間違いないと考えられる。

このような洞察を踏まえたとき、日本の主権者が目指さねばならぬ方向は、

民主、維新、大阪維新を軸とした野党再編ではないことは明白である。

現有議席が少ないから、

これらの勢力を野党再編の中心に置かざるを得ないのではないかとの見方があるが、

「正」対「反」による緊張関係を生み出すには、

自公と自公補完勢力による二大政党体制は、絶対に避けなければならないのである。

こうした点を踏まえて、今後の自公対峙勢力の結集に際しては、現有議席の数には囚われずに、

原発、憲法=集団的自衛権、TPP

そして

辺野古、格差

の「政策を基軸に」して、

「党派には関わりなく」

「主権者が主導して」

自公対峙勢力の結集を図るべきなのである。

この政治勢力を

「オールジャパン」勢力

として結集する。

「オールジャパン新党」

とも呼べるような勢力の結集を図ることが求められている。

「オールジャパン」ブランドを確立し、

「オールジャパン候補者」

の統一リストを作成する。

現住所である所属政党には関わりなく、

一選挙区一候補者

のかたちで、

「オールジャパン候補者」

を選定し、これを主権者の間に広めてゆく。

何よりも大事なのは、

「政策」

である。

「政策があいまいな政党」

など、存在する意味がない。

この意味で、民主党は、すでに終わってしまっている政党である。

いまの民主党は、いわゆる「悪徳10人衆」が支配する、自公補完勢力に過ぎないのであって、

とても、政権交代を担い得る存在ではない。

逆に言えば、既得権勢力による日本支配を維持しようとする勢力は、日本の二大政党体制を

自公



自公補完勢力

によって構築しようと考えている。

だからこそ、民主、維新、大阪維新による野党再編に向けて情報を誘導しているのである。

これまで何度か指摘してきたが、そもそも橋下維新なる勢力が、

政界において一定の規模を獲得してきた理由は、メディアによる強引な情報工作にある。

通常の諸派勢力など、メディアは一切報道に乗せない。

橋下維新など、そもそも、その程度の存在である。

ところが、「みんな」や「橋下維新」は、マスメディアが巨大な広報戦略を展開して、

「人為的に」一定規模になるまで広告宣伝を行ってきたものである。

その狙いは明白である。

自公に対峙する、真正の日本刷新勢力が二大勢力の一角として、

その地位を確立することを阻止するためである。

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」

という。

敵のこの戦略を洞察して、こちら側の戦略を構築しなければならない。

要するに、敵は、本当の意味での、既得権の敵対勢力が構築されることを、心底恐れているのだ。

そのために、自公補完勢力による第二勢力構築を目指している。

しかし、これは「第二自公勢力」であって、「自公対峙勢力」ではない。

主権者にとって重要なのは「政策」であって「政党」ではない。

主権者が求める政策が実現するなら、何党がそれをやっても構わない。

よく、

「○○党だからダメ」

との言葉を聞くがナンセンスだ。

基本政策を定めて、その基本政策によって、政治勢力の結集を図る。

政権が樹立されたら、その基本政策を実施する。

合意を形成できない施策は、議会多数の支持を得ることができないから実現できない。

だから、

「○○党だからダメ」

という懸念は杞憂に終わるのである。

原発を稼働させない

戦争法を廃止する

TPPに参加しない

辺野古に基地を造らせない

格差を是正する

の基本政策によって政治勢力の結集を図る。

党派は問わない。

そして、これらの動きを

主権者主導

で実現する。

これが

オールジャパン平和と共生

の連帯運動である。

オールジャパンのブランドを確立し、

オールジャパン候補を、日本中にくまなく浸透させる。

この力は、必ず、自公勢力に対峙し得るものになると考える。

オールジャパン運動を通じて、日本における

真の民主主義革命

を実現しようではないか。

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