★民主党が自民党にどうしても勝てない理由ー(天木直人氏)

民主党が第二の自民党であるとか、自民党の補完政党であるとか、さんざん指摘されて久しい。

 そして、それは正しい。

 民主党の中心勢力が、今も昔も、その政策において自民党と大差ないからだ。

 少なくとも外交に関してはそうだ。

 その証拠をきのう11月18日の朝日新聞に見つけた。

 TPP交渉の背景を検証をする連載記事(けいざい深話)の第一回目に

次のようなエピソードが紹介されている。

 すなわち民主党が参加表明したTPP交渉にについて、

安倍自民党は政権奪還を目指した衆院選挙で、

「ウソをつかない。TPP断固反対。ブレない。自民党」を掲げた。

 ところが政権を取った途端、TPP推進に豹変した。

 この背景について、安倍首相が側近に次のように語ったというのだ。

 「民主党がズタズタにした日米関係を取り戻したい」と。

 民主党が日米関係をズタズタにした。

 これは民主党批判の決まり文句になっている。

 しかし、民主党政権のどこが日米政権をズタズタにしたというのか。

 鳩山首相の、普天間基地の最低でも県外発言、あるいは東アジア共同体発言が、

それだということになっているが、それぐらいしか思いつかない。

 しかも、その発言さえ、十分な検証なく誇張され、鳩山一人が悪者にされて終わっている。

 どこが日米関係をズタズタにしたのだと、民主党は党を上げて自民党に激怒しなくてはおかしいのだ。

 ところが、まったくその気配がない。

 なぜか。

 それは民主党の中心が、自民党と同様に日米同盟優先論者であるからだ。

 日米同盟を損なったと言われれば、申し訳ない、と思って引き下がってしまうからだ。

 ひるがえって、野党に下った民主党は、

なぜ安倍首相がここまで中国との関係をズタズタにしたというのに、それを激しく批判しないのか。

 それは民主党の中枢が、自民党と同じく、中国を警戒、敵視しているからだ。

 かつて中国漁船が領海侵犯したとき、民主党はどのような対応をとったか。

 前原国交大臣(当時)は日中間に存在した日中間の了解をやぶっていきなり船長を逮捕し、

枝野幹事長(当時)に至っては、中国など誰も法の支配が通用する国とは思っていない、

などと口を極めて切り捨てた。

 要するに、いまも昔も、民主党の中心に居座り続ける連中は、

日米同盟重視と中国警戒で、見事に安倍自民党と一致しているのだ。

 これでは自民党に勝てるはずがない。

 すくなくともその外交政策においてはまったく勝てない。

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